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映画、アニメ、漫画、音楽などの雑記。ファーストインプレッションを大切に。

『ブラック・ウィドウ』公開延期の悲しみに暮れながらMCU俳優主演のおすすめ映画5本を紹介する

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コロナウイルスの影響で公開延期となる大作映画が続々と出ていた中でついに『ブラック・ウィドウ』もその煽りを受けることが決まり、悲しみのあまりキャプテン・マーベルに助けを求めています。

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(c)Marvel Studio 2019

 

まぁ延期は目に見えていたこともありMCU見返しはまだしていなかったので気長に待とうと思いつつ、このやるさない気持ちを他に向けていこうと。

で、MCUを観てしまうと今回の延期がより辛くなってしまうので、MCU俳優(分かりやすくそういう括りにしておく)の主演作品へ想いを馳せていこうという気概であります。

 

公開延期のニュースを経て、どうしたって残念だという声が後を絶ちません。それはMCUの世界的人気を持ってすれば仕方のないことなのでしょうね。

2019年7月、『アベンジャーズ:エンドゲーム』の全世界での興行収入が27億9020万ドルに到達し、『アバター』の27億8970万円を超えて歴代1位となります。日本円にしておよそ3000億円の大記録。

約10年に渡り描かれてきたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の集大成ともいえるこの作品が多くのファンを魅了している事実を改めて感じられることは実に素晴らしく、ファンとして嬉しく思いました。

 

MCUではこれまで何人ものヒーローが登場し、それぞれの作品に華を添えてきたわけですが、ファンが各作品・各ヒーローの虜になるのは俳優陣がヒーロー達の魅力を引き出しているからこそでしょう。

 

今回はそんなMCU俳優らが主演を務める作品に限定し、その中でもおすすめしたい映画を5本紹介していきます。きっとファンにはそれぞれ、好きなヒーローや好きな俳優がいることでしょう。

 

比較的新しい作品ばかりで隠れた名作の紹介というわけにはいかないのが心苦しいのですが、好きな俳優の見たことのなかった側面を知るほんの小さなきっかけになれば幸いです。

 

 

 ジャッジ 裁かれる判事

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アイアンマン/トニー・スタークを演じたロバート・ダウニー・Jrが主演を務めます。

 

主人公は、有能でありながらも金のためなら有罪を無罪にもしてしまう弁護士、ハンク。

父のジョセフは世間でも評判の良い判事だがハンクは若い頃に田舎を飛び出し、父とは絶縁状態にある。

そんな中、ジョセフの住む町で殺人事件が起こり、ジョセフは殺人容疑をかけられます。

苦手とする父ではありましたが、正義の人間が殺人を犯すはずはない。そう信じるハンクが裁判を通してこれまでの人生で捨ててきた過去を取り戻していく作品です。

 

上映時間142分と長く派手さもないのですが、様々なテーマをはらんでおり登場人物の背景も見事に描かれています。

 

ダウニー・Jr主演ということでの紹介となりますが、父ジョセフ役のロバート・デュバルの演技も光り、親子を演じた2人のやりとりは非常に惹かれるものがあるんです。『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』などで知られるロバート・デュエルですが、本作でハリウッド映画賞の助演男優賞を受賞し、圧倒的な存在を放ちました。

 

また、脚本を手がけたニック・シェンクは、クリント・イーストウッド監督兼主演の名作『グラン・トリノ』、昨年日本で公開された『運び屋』でも脚本を執筆した人物。本作でも彼の手腕が遺憾無く発揮されています。

 

ダウニー・Jrは2010年に妻のスーザンと共に「チーム・ダウニー」という制作プロダクションを立ち上げており、その最初の作品となったのがこの『ジャッジ 裁かれる判事』。このような背景をふまえて鑑賞すると、ダウニー・Jrの作品の作り手としての意図も見えてくるかもしれません。

 

 

 gifted/ギフテッド

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生まれつき著しく高度な知能を持つ人やその能力は、ギフテッドと呼ばれます。分かりやすく言えば天才。

 

この作品は、そんなギフテッドである7歳の少女メアリーとクリス・エヴァンス演じる叔父フランクが絆を深めていく中で訪れる親権問題を発端に、彼らにとっての本当の幸せを追求していくハートフルストーリーとなっています。

 

家族の定義や子育ての在り方などが多様化する昨今ですが、そこに特別な才能を持つギフテッドならではの苦悩を織り交ぜながら物語は進行していきます。

 

メアリーの母親は将来有望だった天才数学者でした。そんな姉が願った「娘には普通に育ってほしい」という意志を継ぎ、フランクは戦います。

キャプテン・アメリカ』や『ファンタスティック・フォー』などヒーローの印象が強いクリス・エヴァンスですが、彼の人間味溢れる真っ直ぐさが本作にはぴったり。

 

監督は『(500)日のサマー』や『アメイジングスパイダーマン』などのマーク・ウェブ。

メアリーとフランクの過ごす何気ない生活の1 コマですら見事な演出で撮りきる技術に注目していただきたいです。

 

そしてもうひとつ、メアリーを演じる子役のマッケナ・グレイスがとにかく素晴らしい。

マーク・ウェブ監督に「彼女がいなければこの作品は作っていない」とまで言わしめた、今後が楽しみな子役。きっとこれからも様々な作品でその名前を見ることになるだろうと思います。

 

 

 白鯨との闘い

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灯り用に使われる鯨油をとるために捕鯨が盛んに行われていた時代に30メートルを超える伝説の白鯨に返り討ちにあい、漂流してしまった男達の死闘を描きます。

 

アイアンマン、キャプテン・アメリカと並んでMCUBIG3と呼ばれるソーを演じたクリス・へムズワースが、周りからの信頼が厚く何頭もの鯨を仕留めてきた一等航海士を熱演しています。

 

名著『白鯨』の原点ともなった実話を描ききった本作はよりリアルに感じてもらうためにも、出来ることならばなるべく大きな画面で部屋を暗くして観てもらいたい映画です。

 

人間にとって自由の効かない広大な海に放り出された漂流者を相手に襲いかかる白鯨の姿は見るだけで絶望感に襲われ、とてつもない恐怖を感じます。

極限状態に陥った船員達の言動や狂気の表情も相まって、その感情は更に増幅するんです。映像美も見事であり、圧巻の描写の数々となっています。

 

と、ここまでタイトルの通り人間と白鯨の闘いを描いた作品であると述べてきましたが、本作は決してパニック映画などではありません。この点は『白鯨との闘い』という邦題もミスリードとなっていますが、原題は『IN THE HEART OF THE SEA』。この部分をふまえて観ていただければ、鑑賞後の感想にズレが生じることも少ないでしょう。

 

ちなみにMCUスパイダーマンのピーター・パーカーを演じるトム・ホランドも出演しているので、併せて注目してもらいたいです。

 

 

 ルーム

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アベンジャーズ:エンドゲーム』で大活躍だったキャプテン・マーベルを演じたブリー・ラーソン。彼女がアカデミー賞ゴールデン・グローブ賞など多くの賞を受賞し話題になったのが『ルーム』です。

 

5歳の誕生日を迎えたジャックは生まれた時から、ブリー・ラーソン演じる母親のジョイと施錠された狭い[部屋]で暮らしています。

彼は母親と共に監禁され、生まれてから1度としてこの[部屋]から出たことはありません。そんな息子に外の世界を教えるため、ジョイは脱出を試みます。

世間から隔離されてきた親子が社会に適応し、自分達の人生を取り戻していく過程を描く作品となっています。

 

この映画、実際にあった事件を元に作られているから驚き。

モチーフとなったのは、オーストラリアで女性が父親に24年間監禁され、性的虐待を受けて子供7人を出産したという「フリッツル事件」。

 

この背景を元に、単なる親子愛を描くに留まらず性的虐待や望まぬ形での出産による家族の問題、マスコミ騒動などといった社会的問題を混在させており、出演者の心打つ演技の数々に目を離せない作品に仕上がっています。

 

MCUヒーローズでもトップクラスの戦闘力を誇るキャプテン・マーベルですが、この作品でのブリー・ラーソンは息子を愛する強くも弱くもある母親です。

僕は『キャプテン・マーベル』よりも先にこの作品を鑑賞していたこともあって、ブリー・ラーソンには母親役の印象を強く抱いていたためヒーロー役の彼女に違和感を覚えていたこともあったのですが、イメージの異なる役柄を演じる姿を見ることでキャプテン・マーベルの捉え方も感慨深さが増したように思っています。

 

 

 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

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最後に紹介したいのは、これまで観てきた映画の中でも個人的にトップクラスに好きなこちらの作品。

 

第2次世界大戦時、解読不可能と言われたドイツの暗号エニグマを解き明かすべく結成されたチームの一員である若き天才数学者アラン・チューリングの苦悩の人生を描く、実話をベースとした伝記映画です。

 

主演は『アベンジャーズ:エンドゲーム』のキーマンの1人ともいえるドクター・ストレンジを演じた実力派俳優、ベネディクト・カンバーバッチ

 

テレビドラマシリーズの『SHERLOCK/シャーロック』でも天才を演じた彼は、やはり頭脳明晰な役柄が良く似合います。天才らしい奇人ともいえる独特の雰囲気、しかしどこか愛嬌を感じる人柄で感情に語りかけてくる演技が素晴らしい。そして、孤高の天才だがその裏側で世界を救う姿は、人柄こそ違えどどこかドクター・ストレンジと重なるようにも思えるのでは。

 

アカデミー賞で脚色賞を受賞した本作は、進行する時間軸をコントラストで巧みに表現して時代の移り変わりに変化を持たせ、時代背景や人物描写を描ききっています。

観終えた後に一度今作の史実について調べてみると、アラン・チューリングの功績をより俯瞰的に見ることもできて面白いでしょう。

 

 

以上、ここまでMCU俳優らの主演するオススメ映画を紹介してきました。

 

もちろん、これらはおすすめしたい作品群のごく一部に過ぎません。今回はより出番の多い作品の紹介ということで主演作に絞り記してきましたが、また機会があれば間口を広げての紹介やレビューも面白いかもしれないですね。

 

ヒーローとは違う、俳優陣の役者たる所以を感じながら、それぞれの作品に浸ってもらいたいと思います。