今年も気付いたら年の瀬。
忙しくなりがちな時期ではありますが、1年の振り返りをしながら来年に思いを馳せる年末の空気感が好きだったりします。
そんな1年を締めくくるタイミングということで、やっていきます楽曲10選。
再生している音楽の幅が広くないながらも、その年の楽曲を振り返ることは毎年やっていて。コアなところまで手が届いていないので選曲は面白みがないのですが、来年は聴く楽曲の範囲を広げたいと毎年言っている気がする。絶対その気ないだろ、年々老いていくオタクの腰の重さを舐めるな。
それでは、2022年1月〜12月リリースの楽曲から選定していきます。
▼私的2021年楽曲10選はこちら
はじまりのセツナ/蝋梅学園中等部1年3組
【作詞・作曲】杉山勝彦
<どうしてなの? もう君のことが好き はじまりのセツナ>
耳触りが良く中毒性を帯びた安心の杉山勝彦サウンド。『明日ちゃんのセーラー服』のオープニング曲として、眼前の可愛らしいヒロイン達の眩しさや青さといったフレッシュ感が存分に感じられます。
更には歌詞も作品の色を非常に強く押し出していて。
『大きく手を振る 君がとても綺麗で 振り返すことも忘れそうだよ』『相槌を打ってる君の瞳は 胸のロック開けるパスコードみたい』
ゴリゴリの恋愛モノかな?いくらなんでもピュアすぎる。青春ど真ん中かよ。
女子中学生のキラキラとした「今」を切り取った作品らしさが溢れる歌詞に脱帽です。
Darkness Sympathizer/LizNoir
【作詞・作曲】Q-MHz
<甘く切ないよりも 強くてほろ苦い夢で逢ったら 特別な気持ちが生まれて燃えるのかもね>
LizNoir名義で輩出される楽曲は本当に外しませんね。『IDOLY PRIDE』の作中でも主人公らのライバルにして頂点として描かれていた彼女達ですが、その王者たる風格やカリスマ性がひしひしと感じられるんですよね。
掛け合いがとても気持ちよくてスフィアの面々の長年の経験が爆発していながら、それでいて1曲を通しての一体感が凄い。かなり中毒性が強いです。いつかライブでやってくれ。
ミックスナッツ/Official髭男dism
【作詞・作曲】藤原聡 【編曲】Official髭男dism
<仮初めまみれの日常だけど ここに僕が居て あなたが居る>
イントロから既に髭男の才能がほとばしりすぎているんですけど、タイアップである『SPY× FAMILY』との親和性がとにかく異次元。
偽りの家族であるフォージャー家の関係性をミックスナッツに例えるに留まらず、その幸せこそが悪とも捉えられるスパイという立場を歌詞に重ねていく所業。バケモンですか?
サウンドも情報量が多すぎて頭がおかしくなりそうになるんですけど、この脱法ナッツを摂取していても捕まらないかだけが不安。イントロの「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」って叫んでるの、この脱法ナッツを口にして頭がおかしくなった人だろ。
GO!! リスタート/Liella!
【作詞】宮嶋淳子 【作曲】石黑剛・常楽寺澪 【編曲】石黑剛
<刺さったままのとげが背中押すのは 変われたシグナル>
『ラブライブ!スーパースター!!』アニメ1期で流した涙を2期で糧として勝利に向かっていくLiella!の覚悟を感じる1曲なんですけど、決して暗い気持ちではなく明るく歌い上げるんですよ。
加えて、新入生を1人迎えての初パフォーマンスで作られた楽曲ということもあり、なかなかドラマ性を帯びているのも良いです。アップテンポのメロディもお気に入り。
▼渋谷かのんの主人公性について書いています
Cherish/石原夏織
【作詞】磯谷佳江 【作曲・編曲】ヒゲドライバー
<大事な人 大事にしたいな それって 自分もちゃんと大事にすることかも>
可愛らしくポップでありながらどこか懐かしさも感じるキャッチーな1曲。
前向きなメロディの中に、普段忘れがちな大切なことを思い出させてくれるような歌詞が散りばめられています。耳に残る音のギミックが所々にあって、刺さる人にはとことん刺さる楽曲なんだろうなと思いますね。
MVも見応えがあってとても可愛い仕上がりに。恥ずかしながらタイアップ作品には触れていないのですが、そちらの方面にも意識を寄せていることははっきりと伝わってきて、かなり作り込まれていることが分かる楽曲です。
ピグマリオン/UVERworld
【作詞・作曲】TAKUYA∞
<相手の気持ちは分からない 抱きしめもせずに分かるはず無い>
世界的に人気のある著名人が幸福を感じていない、大国の上に立つ人が核兵器をチラつかせる…そんな一見理解し難いことも実際にはその人の立場にならないと悩みなんて分からない。誰かが苦しんでいても本当の意味でその人の悩みは当人にしか分からないから、せめて大切な人に寄り添ってあげよう。
そんな優しさや人としての尊みを力強くも包み込むように歌い上げられる1曲となっています。サウンドとしてもかなり過剰にエフェクトを多用している楽曲なんですけど、それが味になっているというか。メッセージ性だけでなく単純にメロディーも好みです。
ギターと孤独と蒼い惑星/結束バンド
【作詞】ZAQ 【作曲】音羽-otoha- 【編曲】akkin
<馬鹿なわたしは歌うだけ ぶちまけちゃおうか 星に>
『ぼっち・ざ・ろっく!』の劇中で披露されたこの楽曲。主人公ぼっちの気だるさを帯びながらも胸の底に渦巻く鬱憤のような感情を乗せてギターを掻き鳴らし解き放っているような楽曲だなって思いました。
コミュ障だから人との心の距離は少し遠いかもしれないけれどうちに秘めたものを音楽にぶつけている、そんな作中の描写をここまで詩に落とし込むZAQの力量も素晴らしいですね。ラスサビで『聞いて』→『聴けよ』と繋がって意志が爆発しちゃうのも好き。
KICK BACK/米津玄師
【作詞・作曲】KICK BACK 【編曲】米津玄師・常田大希(King Gnu / millennium parade)
<「止まない雨はない」より先に その傘をくれよ>
『チェンソーマン』のオープニングとしてはもちろんPVも話題になっていますが、ここまでタイアップに寄り添いつつ個性をしっかり崩さずに米津×常田コラボの色を確立させているのが凄い。
この楽曲、入りの常田ベースからもうカッコよくて膝を打つんですけど、これでもかと転調してきやがって聴いてるこっちも負けじと転げ回るしかないんですよ。でもサビではしっかりとキャッチーなテンポに仕上げていて米津色もしっかり出ている。
そして歌詞もまたタイアップのために作り込まれていて、聴けば聴くほどデンジにインタビューして書かれているとしか思えない。所々の言葉選びにデンジの幸福指数の低さが息づいているんですよ。その凄さにこっちがどうにかなりそうだしこれもう悪魔の仕業だろ…。
五等分の花嫁~ありがとうの花~/中野家の五つ子(花澤香菜・竹達彩奈・伊藤美来・佐倉綾音・水瀬いのり)
【作詞】結城アイラ 【作曲・編曲】中村巴奈重
<「ありがとう」を誓いにして 大きな愛を育もう そう彼となら大丈夫だね>
映画『五等分の花嫁』のエンディング主題歌として劇場で流れた瞬間、思わず膝から崩れ落ちてしまった…。(立って映画を観るオタク)
完結編としてストーリーにピリオドを打った後に歌われる楽曲としてあまりにも儚いんです。
そもそも本作は五つ子のうちの1人が主人公と結婚することが冒頭に示唆されていて、果たして誰が花嫁となるのかという観点でも楽しめる作品ですけど、この楽曲は選ばれなかった4人が花嫁に対してお祝いの気持ちを歌うんですよね。でも、そこにはちょっとした寂しさや自分の恋心との決別も見え隠れするんです。メロディーラインも相まって胸が締めつけられます。……もういいよ風太郎…残った4人は俺が幸せにするから。
▼映画『五等分の花嫁』感想はこちら
花の塔/さユり
<連れて行って見たことない星まで 世界の端と端を結んで>
オリジナルアニメでありながらストーリー展開やキャラクターの可愛らしさが話題だった『リコリス・リコイル』。そのエンディングを飾った本楽曲は、作中でのイントロの入りがどれも印象的でした。アニメの引きの良さもあって最後まで目を離すことを許さずエンディングにも直結してくるので、作品との一体感はかなり感じましたね。
世界の違和感を皮肉り、この日常から抜け出していきたいと渇望する様がアニメを投影していて。それでいて2番でキーが下がりしばしの落ち着きを見せていくだけでなく、1番では『知らない名前のお花』と歌われていたのに2番では『フウセンカズラ』としているのも解像度が上がっていて、作中のキャラクターの心情の変化とリンクします。楽曲の物語性に思わずチョイチョイチョイチョイ〜となった。
▼リコリス・リコイル』感想はこちら
以上、2022年楽曲10選でした。
今年の再生楽曲はかなり偏りがあったので、来年はもう少し幅を広げていこう。(定期)