僕が好きなアーティストにUVERworldってロックバンドがいるんですけどね。
彼ら、男性限定ライブ「男祭り」を敢行したりしてファンのほとんどが女性だっていうデビュー当時のイメージを覆しているのですが、案外アニメタイアップが多いんですよ。
「男祭り」は昨年12月の東京ドーム公演をもって一旦は区切りをつけた形となっていて、男女共に認められた自負を持つ彼らは年齢や国籍をも超えてたくさんの人々に音楽を届けたいって言っているんですけど、僕個人の超絶勝手な考えでオタクという人種を更に取り込むきっかけの場があると絶対楽しいと考えていて。
「男祭り」ができるなら「オタク祭り」もどうですかっていうことなんです。ソニーミュージックさん、見ていますか。
現時点でアニメタイアップは以下の通り16曲。しかも結構な有名作品にも多く彩りを添えているんです。ほら、ライブやるには十分。
D-tecnoLife / 『BLEACH』第2期OPテーマ(2005年)
一定数存在する「BLEACHは尸魂界でルキアを奪還するまでがピーク過激派」よ、この楽曲はまさしくその時のテーマだぞ。震えよ。
UVERworldの1stシングルで、前身バンドであるSOUND極ROAD時代の『D-tecnoRize』が原曲であり、疾走感がありながら儚さもある楽曲で、歌詞には黒崎一護の護る者たる所以を感じられる部分も散りばめられている。
昨年末のライブでおよそ7年ぶりに披露されたんですよ。いや、まじかって。MCでめちゃくちゃに煽ってからの歌い出しだったので、それはもうすごい盛り上がりでした。
TAKUYA∞「1番古い曲やるぞぉぉぉぉぉおおおい」
Crew「うおおおおおおおおおおおおおお(会場内から次々と曲名が叫ばれる)」
TAKUYA∞「…違う………違う!1番古い曲だっつってんだろおおおおおおおお」
ぼく「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」
TAKUYA∞「♪癒えない痛み 悲しみでキズついた君よ〜♪」
ぼく「なん…だと……うわぁぁぁぁぁあああああああああああ」
即座に卍解し、高まりすぎて棺に駆け込んで死んだ。
破道の九十『黒棺』。(詠唱破棄)
Colors of the Heart / 『BLOOD+』第3期OPテーマ(2006年)
ダークネスな世界観で展開される作品のタイアップに、光と闇そして希望と絶望を歌う楽曲がよく合います。
歌詞の一節に注目するべき点がありまして、ボーカルのTAKUYA∞が尊敬するグループでDJをしていたREIGO5は彼にとって音楽を目指すきっかけになった人なのですが、『願い続ける想い いつか色づくよ』という言葉をTAKUYA∞に送ります。
REIGO5は2003年に26歳の若さで亡くなってしまいますが、その大切な言葉を使われているのがこの1曲。
「願い続ける想い いつか色づくよ」と
教えてくれた心に生き続ける人
何もかも 必然の中で生まれるColors
もう一度 この手で 明日を描けるから
REIGO5の言葉を大切にしながらこの曲において大切な「色」と、光指す方へ希望を抱く意思をしっかり韻を踏む巧みさが美しすぎ。
endscape / 『地球へ・・・』第1期OPテーマ(2007年)
生まれてからの生涯をコンピューターに管理される人類。14歳になると成人検査を行い、通過した者はこれまでの記憶を消去されて大人になるべく教育機関に送られると世界で巻き起こる人間vs新人類の争いという作品の世界観に寄せた、切なさと希望を共存させる1曲。
ジャケットやPVなどは白を基調とし、「消された記憶」や「何色にも染まることのできるこれから」といった作品のイメージに限りなく近い。
2018年に9年ぶりにライブで披露され、会場のCrew全員が驚きのあまり14歳と化し、無事記憶をなくしたという。
激動 / 『D.Gray-man』第4期OPテーマ(2008年)
フルverはイントロがおよそ1分あり、その始まりはサビの走りからは想像もつかないほど静か。しかし、ひとたび歌が始まると攻撃的な歌詞とバンドサウンドが連なり、まさに激動的なギャップがある。
一方で歌詞にはネガティブなフレーズも含まれていて、自らが大きく変わるためにはそれに伴う強い意志が必要なのだと実感させられます。
まさにアクマの魂を救済して世界を変えるべく激しい戦いに身を投じるアレン・ウォーカーの心情のよう。
儚くも永久のカナシ / 『機動戦士ガンダム00(セカンドシーズン)』第1期OPテーマ(2008年)
タイアップとなっているアニメの中でもガンダム00との結びつきって特に強くて、この楽曲はアニメスタッフとのミーティングを行って、歌詞とアニメ作中のシーンへのリンクを意識させるなど、多くのクリエイターのこだわりが詰まっているんですよ。
しかも、UVERworld初のオリコンチャート1位をとったのもこの楽曲。メンバーはスタジオでその知らせを聞いて涙したってエピソードがあったと記憶している。
もちろん彼らの持つ魅力があってこそのものだけれど、ガンダム00の力も絶対に大きくて、タイアップ作品共にある楽曲なんだと思っています。
CHANGE / 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Traizilblazer-』イメージソング(2010年)
「GOLD」というシングルのカップリングなんですが、嬉しいことに劇場版のイメージソングに。
水島精二監督は劇場版の話が決まった段階でUVERworldに楽曲提供をお願いしたいと思っていたのだそう。
アップテンポとバラードを1曲ずつ欲しいという注文を受けて制作した内の前者が、この「CHANGE」。ではバラードの方はというと、下記がエンディング主題歌になっているんです。
クオリア / 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Traizilblazer-』エンディング主題歌(2010年)
「ハッピーエンドで終わる映画となっているため、壮大な愛に溢れるバラードを」とのことで水島監督から依頼を受けて出来上がった楽曲。
当初、水島監督が良いと言った楽曲が別に存在したものの、UVERworld側としては「この方向性の曲であれば、それを越えられるものを作れる自信がある」と制作期間を押してまで作られたのが「クオリア」なんですけど、水島監督はこの楽曲を聴いて思わず涙を流したらしいです。何その綺麗な涙。完全にその涙にトランザムする時の粒子見えてる。トランザム水島。
双方の信頼関係そして熱量が極限であるからこそのエピソード。
CORE PRIDE / 『青の祓魔師』第1期OPテーマ(2011年)
「自分に負けないプライド」、「死に物狂いで未来を変えてやる」と強い気持ちを歌うこの曲は、悪魔の子供という運命を背負いながらも、悪魔を倒す祓魔師を目指す主人公・奥村燐の境遇を等身大で表現する。
歌詞も熱ければメロディも熱い。ドラムの入りから既にテンションがフルスピード。助走とかしない。いきなりギア全開で法定速度をガン無視して走り散らかしてる。
ライブでも節目で歌われることが多くて、セトリに入れば会場の熱量もさらに上がる力強さ。熱すぎてライブ会場が青い炎で包まれている。
REVERSI / 『青の祓魔師 -劇場版-』主題歌(2012年)
REVERSI=オセロを意味するタイトルで、序盤は相手に多く取らせ最後にひっくり返して勝利を掴むゲームの勝ち方と、人生における不屈の精神をリンクさせて歌う曲。
劇場版で楽曲を知った原作ファンやアニメファンにも自分達を広く知ってもらいたいと、CDには意識的にライブ音源を収録しています。そのうちの1曲が第1期OPの『CORE PRIDE』ときていて、その心意気がたまらんです。
Fight for Liberty / 『宇宙戦艦ヤマト2199』第2期OPテーマ(2013年)
『宇宙戦艦ヤマト』の世界観と自分達の音楽とのバランスを考えて綿密に作られたのがこの曲。
アニメのファンとUVERworldのファンどちらにも満足してもらえるようにと考えるあまり制作が長期化してしまったのだけれど、曲の疾走感とは裏腹に散りばめられた切なさのエッセンスが絶妙すぎる。
同業者からも「歌うのが難しすぎる」と言われていて、ただキーが高いだけではなくてどこで息すればいいのか分からないレベルに歌詞を詰め込むのこの曲は、TAKUYA∞の高音と声量があって初めて成立している。
僕の言葉じゃない これは僕達の言葉 / 『アルスラーン戦記』第1期OPテーマ(2015年)
この曲名のストレートさ。メッセージ性の強い楽曲でファンの気持ちを引きつける感覚が気持ち良かったことから、曲名だけで分かるものにしたのだそう。
PVではゲストボーカルを招いたり、200人のCrewがエキストラとして参加したり、また彼ら全員が歌っているかのような演出が施され、同じ志の仲間たちと一体となって放たれる1曲となっています。
メッセージから放たれる一体感をさらに高めてくれるクラップも印象的。メロディーでというよりは、歌詞で熱くさせてくれる楽曲ですね。
WE ARE GO / 『パズドラクロス』第1期OPテーマ(2016年)
ライブでは定番となっている1曲。セトリで2曲目に入りがち。(UVERあるある)
タイアップの発表があった時は「良いねぇ〜子供向け作品のタイアップ!」なんて思っていたのですが、第1話のOPを観てあまりの合ってなさに思わず笑ってしまったナンバーです。
BPM185くらいだそうで、アップテンポが多い子供向けアニメのOPらしさはなかったかな。
パーカッションの割合や打楽器のインパクトのバランスなどこだわりの強さは一段と感じるが故に、個人的にはアンバランスなのが見て取れてしまうというのが正直なところです。
でも、その中に仕掛けられたギミックがすごい。そして、ライブだとハチャメチャにカッコイイ。それは間違いない。
一滴の影響 / 『青の祓魔師 京都不浄王編』OPテーマ(2017年)
これはですね、バケモン曲です。
出演予定だったイナズマロックフェス2016が台風の影響で中止となり、ファンの悲しみの声を聞く中で感じた怒りや悲しみを「僕達のせいにして、次に進んでいきなよ」と“許し”をテーマのひとつとして書かれた詩であり、その後タイアップのオファーが来たことで青エクの世界観に寄せたメロディをのせて出来た楽曲。
TAKUYA∞:僕ら、『青の祓魔師』に関してはすべて熟知していますから。アニメ第1期(「CORE PRIDE」)も映画『青の祓魔師 劇場版』(「REVERSI」)もオープニングをやらせてもらっているので、ここは任せろと。(笑)
ーー彰さんは最初から『青の祓魔師』をイメージして作ったんですか。
彰:ざっくりとですけどね、戦闘シーンとか。世界観的にはちょっと切ないなっていうイメージもずっとあったので、そういう感じとか。
TAKUYA∞:(宝生)蝮ちゃんやろ?
彰:そうそう(笑)。そういう登場人物がいるんですけど、わりとそっちに気持ちを寄せて。この曲に関してはパーッとイメージが広がって一気に作れたんです。いつもだったら僕ら、2番、3番のアレンジでめちゃくちゃ悩むんですけど、この曲に関しては久しぶりにポンポンできたというか、正解が自分の中で用意されている感覚で最後までストーンとストレートにいけて。
rankingboxインタビューより
端的に申し上げて好き。
切なく儚いのに感じる高まり。嬉しいのか哀しいのか分からないけどこみ上げるものがある。
ODD FUTURE / 『僕のヒーローアカデミア』第3期OPテーマ(2018年)
『僕のヒーローアカデミア』のストーリーとリンクさせて作られたこの曲。個性を持たない主人公・緑谷出久がある日の出会いをきっかけにヒーローへの階段を登っていく、まさに“数奇な未来”を歌い上げています。
アニメ版ではアレンジを加え、尺を考慮したアプローチがなされるなど細かいこだわりも存分に感じられる。
リリース後しばらくはライブでも歌われ続けていますが、お洒落な楽曲でありながらとにかくライブ映えが凄まじい。音源だけに留まらない爆発力にUVERworldの確かな魅力を感じられる1曲。
アニメOPはかなりエフェクトかましてるしOPサイズだと初聴では「サビはどこだ…」と思っていたら曲が終わる有り様で、正直どうなのだろうと思ってたら、ライブで化けた。そういう個性なのかもしれない。
Touch off / 『約束のネバーランド』OPテーマ(2019年)
勢いのあるジャンプ作品へのタイアップが続いて嬉しい限りです。
作品の世界観を突き詰め、自由を求めて諦めない不屈の闘志をメッセージに込めた1曲。
タイアップのオファーがあった時に原作を読んだTAKUYA∞が歌詞を書き、1年ほど寝かしておいたメロディにのせて出来たのがこの曲。本人も原作にすぐにハマって、作品のファンにも喜んでもらえるのではと自信を持って制作に打ち込めたのだとか。
冒頭の電子音やビートで作品の閉鎖的な世界観を表現しながら徐々に外の世界への希望を示していくアプローチが小気味良い。
OPを観てサックスの鮮烈な入り方に思わず震えたのもよく覚えているし、いざCDが発売になってフルで聴いたらアニメ版とはかなり印象が違って、音楽の手口が巧妙すぎる。
これが!!!!!!!
こう!!!!!!!!!!!
どちゃくそ盛り上がり過ぎて頭がおかしくなる。聴くマリファナです。
ROB THE FRONTIER / 『七つの大罪 神々の逆鱗』OPテーマ(2019年)
ジャンプ作品へのタイアップが続いたと思えば、今度はマガジンのこれまた人気作のOPに起用され、勢いが留まることを知らない。
『ODD FUTURE』や『Touch off』などエレクトロな要素が多かった楽曲のリリースが続いていた中、疾走感溢れるナンバーがまさに作品の世界観とマッチしています。
エフェクトマイクの使用や印象的なサックスパートもありながら、どこか懐かしさも感じる。
以上16曲。
よし、やろうオタク祭り。今すぐやろう。
そもそも宣伝効果だけを狙ったタイアップってあまり好きではなくて、もちろんビジネスである以上レーベルの関係だとか諸々あるのも分かってはいるんだけれど、過去のインタビューやメンバーのブログを見ても作品と向き合って寄り添い方を真剣に考えている彼らの真面目さはとてつもなく大きな魅力だと思っていて。
UVERworldの音楽が作品をより輝かせることにもなれば、作品の力を借りて得たアイデアが音楽として形になることもあるだろうし、そうやって結果的なことかもしれないけれどアニメも音楽も一緒になって作り上げられている感覚が素敵じゃないですか?
ライブパフォーマンスも圧巻だし、音響や照明などセットへのこだわりも強い。
あとは映像。上でいくつかリンクを貼ったライブ動画にも映っていますが、彼らの楽曲の多くは曲ごとに作られたリリック映像がステージ後方のスクリーンに流されるんです。
歌われる曲が知らない曲だったとしても、歌詞が映像で流れるから目でも楽しめるし、脳が変換してくれる分メッセージが頭にガシガシ入り込んでくる。
そしてなんと言っても彼らの圧倒的なパフォーマンスと熱量。「好き」ということにとことん向き合い情熱を燃やすオタクという人種にとっても、その熱量はきっと嫌いなものではないと思っています。
ひとりでも多くのオタクと一緒に世界を超えたい。