(C)久保帯人/集英社・「BURN THE WITCH」製作委員会
短期連載も折り返して3話です。キャスト情報も続々と更新されているので、やはり4話から劇場版に繋がっていくのかなと。
3話も展開としては予想していた部分もありましたが、かなりストーリーが動いたなという印象ですね。
「ドラゴン憑き」となりリバース・ロンドン市内へとダークドラゴンの侵入を許した原因になったことを受け、討伐対象となっていたバルゴ。彼の同行が条件となっていた任務の最中に表の存在であるはずのメイシーと遭遇し、さらにはドラゴンまで手懐けている様に困惑するニニーとのえる。
そこに畳みかけるようにして現れる「トップ・オブ・ホーンズ」の1人にして魔陣隊の長官ブルーノ・バングナイフ。
ブルーノは特段隠す様子もなく、バルゴにマントを渡すように指示したことを明かし、ザ・リアリスツの建物を破壊した犯人に仕立て上げようとします。
ブルーノはメイシーをリバース・ロンドンへと連れてきたのは自分なのだと言い放ちますが、ドラゴンを見つけ育ててきたのはメイシー本人であり、彼女は「竜を見る者(ウォッチャー)」であると告げるのです。
「竜を見る者(ウォッチャー)」は魔力の極めて高い人間を指すとのことで、通常感知することのできないはずのドラゴンの存在を認識できる表の人のようです。『BLEACH』でも例えばドン・観音寺のように霊感が強く整や虚を見ることのできる能力を持つ人はいました。一護のクラスメイトの中にも死神となった一護の戦いに巻き込まれる中で霊感の向上が見られた人物もいましたし、もしかしたら生まれ持った魔力が高い人間の他にも外的要因によりその能力が開花するケースもあるのかなと考えたりします。
ブルーノの口ぶりからすると、ニニーやのえるも魔力を秘めていたためにドラゴンが見えるようになったことでリバース・ロンドンの存在を知り、魔女になったのでしょうか。偶発的なことでないのだとすると、もしかしたらメイシーをリバース・ロンドンへ連れてきたブルーノのように「竜を見る者(ウォッチャー)」をスカウトする組織があるのかもしれません。
実際、メイシーのように表でドラゴンを育てれば人間の「ドラゴン憑き」化や、ドラゴンの「黒化」に繋がる可能性は高いでしょうから、そのような事態を未然に防ぐと同時に魔女の育成を促す組織は存在していても何ら不思議ではないですよね。
メイシーのニニーへの好意故ののえるへの嫉妬心は漫画的にはかなりポップですし、コンビとしてもトリオとしても良い相乗効果がありそうなので、メイシーは今後魔女になるのかななんて思ったりもします。
というのも、ファンからしてみればアイドルが自分を魅了する魔法をかけているような感覚もあるんじゃないかと思うんですね。誰かの心を奪うことってそう簡単なことではないですし、好きという想いが募れば募るほど色濃い感情になるというか。その心のうつろいって魔法のように魅惑的じゃないですか。
一方で、メイシーは偽りの自分を演じるアイドル活動とそれを辞めてしまった時に何も残らないのではと恐怖心を抱えています。そんな内心を隠すメイシーは、自らに魔法をかけてアイドルの姿を世間に見せているわけです。
つまり、本心をさらけ出さずにアイドルとしての魔法を使うことで、結果としてどんどんと負の感情を蓄積させているんですね。これによってドラゴンのエリーはメイシーの感情を吸い取っていくという悪循環にも繋がっていたのでしょう。それがエリーの成長にどれほどの影響を与えていたかは分かりませんが、今回のブルーノからのスカウトに繋がっていくことになります。
もし本当にメイシーが魔女になる展開となれば、それはきっと彼女が好意を寄せるニニーによって救済された後でしょう。仮面を被って擬似的な姿で過ごす魔法から解放され、今度は雁字搦めになっていた過去の自分と同じような人を生み出さないためにも、魔女としてその一端を担っていくのかもしれません。
とまぁこのあたりはあくまでもただの予想ではありますが、実際のところ人の目に晒される存在が苦悩する事柄としてはすごくリアルな気がします。アイドルとして名声もあり華やかな世界の住民だなんて、一般的には憧れの存在なわけですよ。そんな人でも、その地位を手に入れるために失ったものもあれば、また光が強くなればその影も濃くなるように、見えない苦悩が無数にあるという現実を突きつけられました。大切なのは、困難に陥った時にどうするのか、誰を頼るのかということ。ニニーとのえるがどのようにしてメイシーに手を差し伸べるのかが非常に楽しみです。
さて、取り急ぎはメイシーを逃がそうと、ニニーとのえるはザ・リアリスツの社屋を離れます。するとブルーノがリッケンバッカーというドラゴンを呼び出すわけですが、この手のドラゴンの登場は初めてですよね。
ドラゴンの多くはリバース・ロンドンの住民の生活を支えている世界で、対ドラゴンとしての役割を果たすドラゴンがいるのでしょうか。その矛先は必ずしもドラゴンに限る話ではないかもしれませんが、いずれにしてもメイシーが従えるエリーと、討伐対象となっていて生物学上はドラゴン扱いのバルゴを追うためだとすれば、リッケンバッカーの戦闘能力は高いことが予想されます。
4話ではいよいよ戦闘が繰り広げられるのか、その後の展開はどのような媒体で行われるのか…。
最後に気になったことを記しておきたいのですが、それはメイシーがアイドルとしての苦悩やドラゴンを拾って育ててきたエピソードを語る時のニニーとのえるの表情なんですね。
『BURN THE WITCH』第3話「She Makes Me Special」より
メイシーへの同情と取れなくもないのですが、先程述べた通り2人にもリバース・ロンドンの存在を知らず表で生きてきた時期があったと思うんです。どのようにしてドラゴンが見え始め、リバース・ロンドンへと渡ることとなったのかは非常に気になるところですが、2人もそれぞれ似たような境遇や過去があったのかななんて思ったりもします。魔力が高いが故に抱えていた葛藤があったでしょうし、それを周囲の人々に伝えられないもしくは伝えても信じてもらえないという辛さは少なからずあったはずです。だからこそ、ニニーとのえるによるメイシーの救済は絶対に見届けたいんです。