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映画、アニメ、漫画、音楽などの雑記。ファーストインプレッションを大切に。

自宅で旅行気分を味わいたいあなたにおすすめのロードムービー10選

自宅で過ごす時間はまだまだ続きそうな今日この頃。きっと連休の予定を延期したりキャンセルしたりという方も多いのではないでしょうか。

 

気分が落ち込みがちになりますがそんな時だからこそ笑って過ごしたいよね、ということで先日おすすめのコメディ映画を紹介したところ、記事の閲覧数が普段の倍ほどとなっておりまして、多少なりとも参考にしていただければありがたいと思ってます。

 

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今回はそれに付随して、せめて自宅で旅行気分を…ということで、ロードムービーのご紹介です。

 

旅での出来事を経て起こる登場人物の心情の変化や成長を感じながら、自らも旅路を疑似体験することができる映画の数々。肩肘張らずに観始めたらぐいぐいのめり込んでしまい、感情移入してしまう…そんな作品も多いので、満足度も高いのではないでしょうか。

 

時間に余裕があればぜひ、素敵な映像体験を。

 

 

 

 グリーンブック

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人種差別がまだまだ根強く残る1960年代アメリカ。黒人ピアニストと彼に雇われた用心棒兼運転手の白人が、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を手に演奏ツアーのためにアメリカ南部を巡る。

 

旅に出るふたりはよくある「物静かな白人と横柄な黒人」という人物像ではないんです。

むしろ反対で、知的で教養もある芸術家肌の天才ピアニストの黒人と、彼の元で働くこととなった不器用で大雑把な白人という図。

出自も性格も全く違うふたりは衝突を繰り返すのですが次第に打ち解けていきます。観終えた後にはじんわりと温かな気持ちになるのではないでしょうか。

 

実話ベースのこの作品は各国の賞レースで存在感を発揮し、アカデミー賞では作品賞他3部門を受賞しました。

 

 

 

 

 

 シェフ  三ツ星フードトラック始めました

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元一流レストランのシェフが移動販売車で極上のサンドイッチを売りながら旅をし、自分の人生を取り戻していく様を描いた本作。

 

監督兼主演は「アイアンマン」シリーズの監督ジョン・ファブロー。スカーレット・ヨハンソンロバート・ダウニー・Jrらが脇を固めるほか、監督が信頼する俳優陣のキャスティングが見受けられます。

 

料理だけではなく友情や親子愛の美しさも味わえ、さらには行く先々の土地の魅力も鮮やかに収められている1作です。

料理欲も掻き立てられること間違いなし!

 

 

 

 

 

 デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜

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ロバート・ダウニー・Jr繋がりでもう1本。

妻の出産に立ち向かうためにヒッチハイクアメリカ横断を余儀なくされた男が、たまたま出会った役者の卵と共に波乱万丈な旅をすることになるコメディ映画。

 

主人公に感情移入しすぎると相方の言動にイラつきが止まらなくなると思うのでそこは先に言っておきますが、随所で「やられた…」と思わずグッときてしまうシーンも散りばめられて、何とも奇妙な作品だと思います。

 

監督は大人気コメディ『ハング・オーバー』シリーズや、2019年に世界的大ヒットを記録した『ジョーカー』のトッド・フィリップス

 

 

 

 

 

 はじまりへの旅

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夫婦の独特の教育方針により、裸で森に住み野生の動物を狩って食料にしている家族。

世間から隔離された環境に生きる彼らがとある出来事により社会に繰り出すことで、ギャップに苦しみながらも自らを失わずに生きていく様を活写する作品です。

 

楽しんでみられる映画でありながら、繊細な感情に哲学的思想、社会のあり方や倫理など多くを考えさせてくる1本になっています。

カンヌ国際映画祭をはじめ世界中で評価された映画です。

 

 

 

 

 

 思いやりのススメ

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私生活のトラブルにより作家業を断念した中年男性。生きる活力もないが収入を得るために、講習を受けるだけで資格を得られる介護士に転職します。そんな彼が初めて介護を担当することとなったのは、何ともクセのある少年でした。

 

身体の不自由な少年と心に傷を負った介護士が、ある目的のために旅行に出ることで少しずつ心を通わせていく…そんな心温まるNetflixオリジナル作品です。

 

ブラックジョーク満載でコメディ色もあり、テンポが良い。しかし前向きなテーマで力強く展開していく本作は、登場人物のバックボーンと生きていく希望を探していく様にきっと心打たれること間違いなし。

 

分からないこと、知らない世界に手を伸ばすことって簡単なことではないと思いますが、立ち止まっている人には特に刺さる1本だと思います。

 

 

 

 

 

 宇宙人ポール

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2人のSFオタクがキャンピングカーでアメリカを旅する道中、予期せぬ宇宙人との出会いを経て巻き起こるドタバタコメディ。

 

コミコンに行ったり各地のUFOスポットを巡ったりと、コメディでありつつ様々な景色を楽しめます。さらには『E.T.』、『スター・ウォーズ』、『未知との遭遇』など映画ネタが満載で時代のノスタルジーも感じさせながら、独創性も抜群。

 

ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ホット・ファズ』などでお馴染みのサイモン・ペッグニック・フロストの掛け合いが面白おかしい作品です。

 

 

 

 

 

 バジュランギおじさんと、小さな迷子

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声が出ない迷子の少女を故郷のパキスタンまで送り届けるためインド人のおじさんが立ち上がる!歌って踊って笑って泣ける、インドから黒船のごとくやってきた映画です。

 

なぜ登場人物を国籍と併せて紹介したかといいますと、その理由は歴史的背景にあります。

インドはイギリスに植民地化されていましたが、経済的に保てなくなったことから独立することとなります。宗派はそれぞれ、インドはヒンドゥー教パキスタンイスラム教。さらに地方をどちらの国が納めるかで戦争が起き、その関係は70年以上続いています。

 

そのような中で従順で情に厚いインドの青年(邦題ではおじさん略)が、迷子のパキスタンの少女に穢れなき深い愛情を注ぎ接し、彼女の親元へと届けようと奮闘する様には心が震えます。

上述の通り根付いた社会や文化、宗教などの背景も考えると、単なる娯楽映画に留まらないのも素晴らしいのです。

 

2時間40分と長尺の作品ですが、それ以上に大きなパワーのある映画となっています。定期的に話題作を放ってくるインド映画、やはり侮れません。

 

 

 

 

 

 運び屋

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インターネット普及の余波を受けて家業が立ち行かなくなった90歳の主人公に運び屋の話が舞い込む。軽い気持ちで引き受けた仕事でしたが、自らが運んでいるものが何なのか気付いた彼に次々と試練が訪れます・・・。

 

年老いた麻薬の運び屋という話を基に、仕事に生きる男の生き様と家族との向き合い方を織り込みながら、見事な人間ドラマに仕上がっています。

ポスターや予告のような重苦しさはないので、身構えることなく観られるかと思います。

 

本作はイーストウッド監督の実の娘が出演したり、師弟関係のブラッドリー・クーパーが運び屋を追う捜査官として出演したり、また御歳89歳と彼の年齢を考えると引退作ではと囁かれていましたが、杞憂だったようです。そんな噂を笑い飛ばすかのような文脈も感じられる作品となっています。

 

 

 

 LOGAN ローガン

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X-MENの一員で、かつては日本で脅威に立ち向かったこともある(という黒歴史もある)ウルヴァリン。彼の活躍をロードムービーという形で描き切ったのが『LOGAN ローガン』です。

 

自分達以外にはもう存在しないとされていたミュータントである少女ローラとの出会いをきっかけに、再び戦い荒野を突き進んでいくことになるローガン。

特殊能力を用いてバトルを繰り広げる従来のアメコミ映画とは一線を画した本作は、研ぎ澄まされながらも泥臭いアクションに加え、ローラとローガンとの絆も大きな見どころとなっています。

 

X-MEN』シリーズ、そして『ウルヴァリン』単体としてのシリーズを経ての本作なので、まだシリーズに触れたことがなかったり、だいぶ前に観たっきりという方は、この機会にシリーズを追ってみるのも良いのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 イントゥ・ザ・ワイルド

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裕福な家庭で育ち大学を優秀な成績で卒業した主人公は車や財布を捨て、IDやクレジットカードを燃やし、更には貯金を全額寄付し、社会の息苦しさから解き放たれるべく自由を追い求めて放浪の旅に出ます。

 

労働とヒッチハイクを繰り返してアラスカへと向かい、喧騒とは無関係の地で彼は何を感じ何を得たのか。

 

僕達も少なからず真理を求めて考えを巡らせる日々だと思いますが、自分らしく生きることって永遠のテーマだなと改めて考えさせられる映画です。

 

壮大な大自然をダイナミックに撮りながらもそれは主人公の強い意志をも表しているかのようで、とても緻密な作りが印象的な作品となっています。

 

 

 

 

以上、10作品。ヒューマンドラマやコメディ、アクションなど幅広く選出してみました。

 

うち3作品は2019年のベスト映画にも選ぶなどしているので、併せてどうぞ。

  

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ロードムービーは道中の景観はもちろん、登場人物の成長を爽快に活写していることが多いのも魅力のひとつ。

故にカタルシスに満ちた時間を感じられ、鑑賞後の何とも言えない清々しさやほうよう何物にも変え難いと思うわけで。

 

映画をきっかけに豊かな感情を生むことも、素敵なことだと思います。

 

ぜひ『#おうち時間』のお供としてのご参考に、よろしくどうぞ。

 

『ジョン・ウィック:パラベラム』で愛の記憶のために生きる男のスタイリッシュさが桁違い

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研ぎ澄まされたアクションの数々で話題を呼んだ『ジョン・ウィック』シリーズの3作目となる『パラベラム』を公開直後以来に鑑賞したのだけれど、テレビサイズの映像でさえ溢れんばかりの魅力に感嘆してしまった。

 

妻を病気で失い、愛犬を殺され、何も残っていない失意の男が裏組織への復讐をしていく。キアヌ・リーブスの狂気漂う演技と流れるようなガンアクションとカンフーを組み合わせた「ガンフー」が映画ファンの間で話題になった。

 

 

シリーズ1,2作目に続きメガホンを取るのはチャド・スタエルスキ。『マトリックス』シリーズからキアヌを知る彼が、今作でもその手腕を発揮する。

 

さらに、これまたシリーズを牽引してきたデヴィッド・リーチが製作総指揮を務める。音楽や脚本、撮影陣も本シリーズから続投となっており、最新作でもどのようなアクションで我々を驚かせてくれた。

 

シリーズの代名詞ともいえるアクションシーンは、今作でも圧倒的に多彩かつ極めてクオリティが高い。

ガンアクションとカンフーを織り交ぜたガンフーはもちろん、犬を従えての攻防、馬小屋やバイクに乗った路上など様々なシチュエーションでの戦いとあの手この手で目を見張る激しいアクションシーンが放たれる。状況に応じて周囲のありとあらゆるものが武器と化す、柔軟でスタイリッシュなアクションに目を丸くする。

 

物語は『ジョン・ウィック2』の直後から描かれる。ホテルコンチネンタルの「ホテル内で殺しをしてはいけない」という掟を破ったことで、ジョンは賞金首となる。次々と襲ってくる刺客を相手に、冒頭から既に手負いとなっているジョン。従来のアクション映画と違い、今作は始まって間もなく、主人公が敵に対してアドバンテージを取られている状況となる。

 

満身創痍の中で追っ手を次々と葬っていく様は常に生と死が隣り合わせ。だからこそ、ジョンにとって目に入るもの全てが武器となるし、この製作陣だからこそアクションの多彩さに花が咲く。スタッフ陣のアイデアが生み出す新たな極地だったといえる。

 

失意の中で裏社会に舞い戻ってきたジョン。愛犬を殺されたことが引き金となったわけだが、それは単に犬を殺されたから復讐をしているわけではない。

ジョンは殺し屋から足を洗って裏社会と決別し、妻との人生、いわば表社会を生きることを選んだ。最悪の人との生活は決して長くは続かなかったが、妻の病死があってもジョンは裏社会に戻ることはしなかった。それは妻が亡くなってからも、最も彼女を感じられる犬がいたから。犬が妻の代わりとなりジョンに寄り添っていたからだ。

 

だが、そんな唯一の救いともいえる犬を、無残にも殺されてしまう。それはジョンを表社会に繋ぎ止めていた存在がいなくなってしまったことを意味するわけだ。

 

今作でも犬の意味することは重要だ。

主席連合の人間と話すため砂漠を訪れた際、死に方について「殺し屋として死ぬか」「妻を愛し、妻に愛された男として死ぬか」を問われる。その答えが「妻ヘレンとの思い出を忘れない」ため左手の薬指を落とすことに繋がった。

主席連合に仕える“犬”としての道を選ぶのだ。

 

妻との思い出でもあり、ジョンを再び裏社会に戻すきっかけともなり、今作でソフィアがジョンに手を貸す決意にも繋がったのも犬だ。

ホテルコンチネンタルでの主席連合の部隊との戦いにおいて、ウィンストンはジョンを“猟犬”と位置づけた。だが、この猟犬は決して主席連合の従順な犬にはならなかった。

 

ジョンはウィンストンを殺すように指示を受けるも、実行には移さなかった。主席連合の下へ再び従うこととなるも、左手の薬指を失い結婚指輪を手放す。妻との思い出を忘れないための戦いで、その象徴を物理的になくす決断をする。

ここでの忠誠は、そもそものジョンの想いに反することだった。それがウィンストンを殺さず主席連合と戦う決意をもたらすわけである。アクションシーンに留まらない、ジョン・ウィックの生き方もまた、泥臭さと血生臭さを帯びながら何ともスタイリッシュだ。

 

さて、本作『ジョン・ウィック:パラベラム』では、表社会と裏社会の狭間で生きながらに殺されているジョンの生き方と死に方への問いに対する答えを提示してくれた。

どうやら次回作も決定しているようで、ガンフーはもちろん、今作で見られたマー(馬)・フーやドッグ・フーのように、新たな戦い方をスクリーンで拝みたいところだ。

 

ジョン・ウィックは止まることが許されなくなってしまった。ならば、それができるようになるまで戦い続けるだけである。

UVERworldの「オタク祭り」を死ぬまで思い描く男

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僕が好きなアーティストにUVERworldってロックバンドがいるんですけどね。

 

彼ら、男性限定ライブ「男祭り」を敢行したりしてファンのほとんどが女性だっていうデビュー当時のイメージを覆しているのですが、案外アニメタイアップが多いんですよ。

 

「男祭り」は昨年12月の東京ドーム公演をもって一旦は区切りをつけた形となっていて、男女共に認められた自負を持つ彼らは年齢や国籍をも超えてたくさんの人々に音楽を届けたいって言っているんですけど、僕個人の超絶勝手な考えでオタクという人種を更に取り込むきっかけの場があると絶対楽しいと考えていて。

 

「男祭り」ができるなら「オタク祭り」もどうですかっていうことなんです。ソニーミュージックさん、見ていますか。

 

現時点でアニメタイアップは以下の通り16曲。しかも結構な有名作品にも多く彩りを添えているんです。ほら、ライブやるには十分。

 

 

D-tecnoLife / 『BLEACH』第2期OPテーマ(2005年)
D-tecnoLife

D-tecnoLife

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一定数存在する「BLEACHは尸魂界でルキアを奪還するまでがピーク過激派」よ、この楽曲はまさしくその時のテーマだぞ。震えよ。

 

UVERworldの1stシングルで、前身バンドであるSOUND極ROAD時代の『D-tecnoRize』が原曲であり、疾走感がありながら儚さもある楽曲で、歌詞には黒崎一護の護る者たる所以を感じられる部分も散りばめられている。

 

昨年末のライブでおよそ7年ぶりに披露されたんですよ。いや、まじかって。MCでめちゃくちゃに煽ってからの歌い出しだったので、それはもうすごい盛り上がりでした。

 

TAKUYA∞「1番古い曲やるぞぉぉぉぉぉおおおい」

Crew「うおおおおおおおおおおおおおお(会場内から次々と曲名が叫ばれる)」

TAKUYA∞「…違う………違う!1番古い曲だっつってんだろおおおおおおおお」

ぼく「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」

TAKUYA∞「♪癒えない痛み 悲しみでキズついた君よ〜♪」

ぼく「なん…だと……うわぁぁぁぁぁあああああああああああ」

 

即座に卍解し、高まりすぎて棺に駆け込んで死んだ。

破道の九十『黒棺』。(詠唱破棄)

 

 

 

Colors of the Heart / 『BLOOD+』第3期OPテーマ(2006年)
Colors of the Heart

Colors of the Heart

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ダークネスな世界観で展開される作品のタイアップに、光と闇そして希望と絶望を歌う楽曲がよく合います。

 

歌詞の一節に注目するべき点がありまして、ボーカルのTAKUYA∞が尊敬するグループでDJをしていたREIGO5は彼にとって音楽を目指すきっかけになった人なのですが、『願い続ける想い いつか色づくよ』という言葉をTAKUYA∞に送ります。

REIGO5は2003年に26歳の若さで亡くなってしまいますが、その大切な言葉を使われているのがこの1曲。

 

「願い続ける想い いつか色づくよ」と

教えてくれた心に生き続ける人

何もかも 必然の中で生まれるColors

もう一度 この手で 明日を描けるから

 

REIGO5の言葉を大切にしながらこの曲において大切な「色」と、光指す方へ希望を抱く意思をしっかり韻を踏む巧みさが美しすぎ。

 

 

 

endscape / 『地球へ・・・』第1期OPテーマ(2007年)
endscape

endscape

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生まれてからの生涯をコンピューターに管理される人類。14歳になると成人検査を行い、通過した者はこれまでの記憶を消去されて大人になるべく教育機関に送られると世界で巻き起こる人間vs新人類の争いという作品の世界観に寄せた、切なさと希望を共存させる1曲。

 

ジャケットやPVなどは白を基調とし、「消された記憶」や「何色にも染まることのできるこれから」といった作品のイメージに限りなく近い。

 

2018年に9年ぶりにライブで披露され、会場のCrew全員が驚きのあまり14歳と化し、無事記憶をなくしたという。

 

 

 

激動 / 『D.Gray-man』第4期OPテーマ(2008年)
激動

激動

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フルverはイントロがおよそ1分あり、その始まりはサビの走りからは想像もつかないほど静か。しかし、ひとたび歌が始まると攻撃的な歌詞とバンドサウンドが連なり、まさに激動的なギャップがある。

 

一方で歌詞にはネガティブなフレーズも含まれていて、自らが大きく変わるためにはそれに伴う強い意志が必要なのだと実感させられます。

まさにアクマの魂を救済して世界を変えるべく激しい戦いに身を投じるアレン・ウォーカーの心情のよう。

 

 

 

儚くも永久のカナシ / 『機動戦士ガンダム00(セカンドシーズン)』第1期OPテーマ(2008年)
儚くも永久のカナシ

儚くも永久のカナシ

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タイアップとなっているアニメの中でもガンダム00との結びつきって特に強くて、この楽曲はアニメスタッフとのミーティングを行って、歌詞とアニメ作中のシーンへのリンクを意識させるなど、多くのクリエイターのこだわりが詰まっているんですよ。

 

しかも、UVERworld初のオリコンチャート1位をとったのもこの楽曲。メンバーはスタジオでその知らせを聞いて涙したってエピソードがあったと記憶している。

 

もちろん彼らの持つ魅力があってこそのものだけれど、ガンダム00の力も絶対に大きくて、タイアップ作品共にある楽曲なんだと思っています。

 

 

 

CHANGE / 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Traizilblazer-』イメージソング(2010年)
CHANGE

CHANGE

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「GOLD」というシングルのカップリングなんですが、嬉しいことに劇場版のイメージソングに。

水島精二監督は劇場版の話が決まった段階でUVERworldに楽曲提供をお願いしたいと思っていたのだそう。

 

アップテンポとバラードを1曲ずつ欲しいという注文を受けて制作した内の前者が、この「CHANGE」。ではバラードの方はというと、下記がエンディング主題歌になっているんです。

 

 

 

クオリア / 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Traizilblazer-』エンディング主題歌(2010年)
クオリア

クオリア

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「ハッピーエンドで終わる映画となっているため、壮大な愛に溢れるバラードを」とのことで水島監督から依頼を受けて出来上がった楽曲。

 

当初、水島監督が良いと言った楽曲が別に存在したものの、UVERworld側としては「この方向性の曲であれば、それを越えられるものを作れる自信がある」と制作期間を押してまで作られたのが「クオリア」なんですけど、水島監督はこの楽曲を聴いて思わず涙を流したらしいです。何その綺麗な涙。完全にその涙にトランザムする時の粒子見えてる。トランザム水島。

双方の信頼関係そして熱量が極限であるからこそのエピソード。

 

 

 

CORE PRIDE / 『青の祓魔師』第1期OPテーマ(2011年)
CORE PRIDE

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「自分に負けないプライド」、「死に物狂いで未来を変えてやる」と強い気持ちを歌うこの曲は、悪魔の子供という運命を背負いながらも、悪魔を倒す祓魔師を目指す主人公・奥村燐の境遇を等身大で表現する。

 

歌詞も熱ければメロディも熱い。ドラムの入りから既にテンションがフルスピード。助走とかしない。いきなりギア全開で法定速度をガン無視して走り散らかしてる。

 

ライブでも節目で歌われることが多くて、セトリに入れば会場の熱量もさらに上がる力強さ。熱すぎてライブ会場が青い炎で包まれている。

 

 

 

REVERSI / 『青の祓魔師 -劇場版-』主題歌(2012年)
REVERSI

REVERSI

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REVERSI=オセロを意味するタイトルで、序盤は相手に多く取らせ最後にひっくり返して勝利を掴むゲームの勝ち方と、人生における不屈の精神をリンクさせて歌う曲。

 

劇場版で楽曲を知った原作ファンやアニメファンにも自分達を広く知ってもらいたいと、CDには意識的にライブ音源を収録しています。そのうちの1曲が第1期OPの『CORE PRIDE』ときていて、その心意気がたまらんです。

 

 

 

 

Fight for Liberty / 『宇宙戦艦ヤマト2199』第2期OPテーマ(2013年)
Fight For Liberty

Fight For Liberty

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宇宙戦艦ヤマト』の世界観と自分達の音楽とのバランスを考えて綿密に作られたのがこの曲。

 

アニメのファンとUVERworldのファンどちらにも満足してもらえるようにと考えるあまり制作が長期化してしまったのだけれど、曲の疾走感とは裏腹に散りばめられた切なさのエッセンスが絶妙すぎる。

 

同業者からも「歌うのが難しすぎる」と言われていて、ただキーが高いだけではなくてどこで息すればいいのか分からないレベルに歌詞を詰め込むのこの曲は、TAKUYA∞の高音と声量があって初めて成立している。

 

 

 

僕の言葉じゃない これは僕達の言葉 / 『アルスラーン戦記』第1期OPテーマ(2015年)
僕の言葉ではない これは僕達の言葉

僕の言葉ではない これは僕達の言葉

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この曲名のストレートさ。メッセージ性の強い楽曲でファンの気持ちを引きつける感覚が気持ち良かったことから、曲名だけで分かるものにしたのだそう。

 

PVではゲストボーカルを招いたり、200人のCrewがエキストラとして参加したり、また彼ら全員が歌っているかのような演出が施され、同じ志の仲間たちと一体となって放たれる1曲となっています。

 

メッセージから放たれる一体感をさらに高めてくれるクラップも印象的。メロディーでというよりは、歌詞で熱くさせてくれる楽曲ですね。

 

 

 

WE ARE GO / 『パズドラクロス』第1期OPテーマ(2016年)
WE ARE GO

WE ARE GO

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ライブでは定番となっている1曲。セトリで2曲目に入りがち。(UVERあるある)

 

タイアップの発表があった時は「良いねぇ〜子供向け作品のタイアップ!」なんて思っていたのですが、第1話のOPを観てあまりの合ってなさに思わず笑ってしまったナンバーです。

 

BPM185くらいだそうで、アップテンポが多い子供向けアニメのOPらしさはなかったかな。

パーカッションの割合や打楽器のインパクトのバランスなどこだわりの強さは一段と感じるが故に、個人的にはアンバランスなのが見て取れてしまうというのが正直なところです。

 

でも、その中に仕掛けられたギミックがすごい。そして、ライブだとハチャメチャにカッコイイ。それは間違いない。

 

 

 

一滴の影響 / 『青の祓魔師 京都不浄王編』OPテーマ(2017年)
一滴の影響

一滴の影響

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これはですね、バケモン曲です。

出演予定だったイナズマロックフェス2016が台風の影響で中止となり、ファンの悲しみの声を聞く中で感じた怒りや悲しみを「僕達のせいにして、次に進んでいきなよ」と“許し”をテーマのひとつとして書かれた詩であり、その後タイアップのオファーが来たことで青エクの世界観に寄せたメロディをのせて出来た楽曲。

 

TAKUYA∞:僕ら、『青の祓魔師』に関してはすべて熟知していますから。アニメ第1期(「CORE PRIDE」)も映画『青の祓魔師 劇場版』(「REVERSI」)もオープニングをやらせてもらっているので、ここは任せろと。(笑)

 

ーー彰さんは最初から『青の祓魔師』をイメージして作ったんですか。

彰:ざっくりとですけどね、戦闘シーンとか。世界観的にはちょっと切ないなっていうイメージもずっとあったので、そういう感じとか。

TAKUYA∞:(宝生)蝮ちゃんやろ?

彰:そうそう(笑)。そういう登場人物がいるんですけど、わりとそっちに気持ちを寄せて。この曲に関してはパーッとイメージが広がって一気に作れたんです。いつもだったら僕ら、2番、3番のアレンジでめちゃくちゃ悩むんですけど、この曲に関しては久しぶりにポンポンできたというか、正解が自分の中で用意されている感覚で最後までストーンとストレートにいけて。

rankingboxインタビューより

 

端的に申し上げて好き。

 

 

切なく儚いのに感じる高まり。嬉しいのか哀しいのか分からないけどこみ上げるものがある。

 

 

 

ODD FUTURE / 『僕のヒーローアカデミア』第3期OPテーマ(2018年)
ODD FUTURE

ODD FUTURE

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僕のヒーローアカデミア』のストーリーとリンクさせて作られたこの曲。個性を持たない主人公・緑谷出久がある日の出会いをきっかけにヒーローへの階段を登っていく、まさに“数奇な未来”を歌い上げています。

 

アニメ版ではアレンジを加え、尺を考慮したアプローチがなされるなど細かいこだわりも存分に感じられる。

 

リリース後しばらくはライブでも歌われ続けていますが、お洒落な楽曲でありながらとにかくライブ映えが凄まじい。音源だけに留まらない爆発力にUVERworldの確かな魅力を感じられる1曲。

 

 

アニメOPはかなりエフェクトかましてるしOPサイズだと初聴では「サビはどこだ…」と思っていたら曲が終わる有り様で、正直どうなのだろうと思ってたら、ライブで化けた。そういう個性なのかもしれない。

 

 

 

 

Touch off / 『約束のネバーランド』OPテーマ(2019年)
Touch off

Touch off

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勢いのあるジャンプ作品へのタイアップが続いて嬉しい限りです。

作品の世界観を突き詰め、自由を求めて諦めない不屈の闘志をメッセージに込めた1曲。

 

タイアップのオファーがあった時に原作を読んだTAKUYA∞が歌詞を書き、1年ほど寝かしておいたメロディにのせて出来たのがこの曲。本人も原作にすぐにハマって、作品のファンにも喜んでもらえるのではと自信を持って制作に打ち込めたのだとか。

冒頭の電子音やビートで作品の閉鎖的な世界観を表現しながら徐々に外の世界への希望を示していくアプローチが小気味良い。

 

OPを観てサックスの鮮烈な入り方に思わず震えたのもよく覚えているし、いざCDが発売になってフルで聴いたらアニメ版とはかなり印象が違って、音楽の手口が巧妙すぎる。

 

これが!!!!!!!

 

 

こう!!!!!!!!!!!

 

 

どちゃくそ盛り上がり過ぎて頭がおかしくなる。聴くマリファナです。

 

 

 

ROB THE FRONTIER / 『七つの大罪 神々の逆鱗』OPテーマ(2019年)
ROB THE FRONTIER

ROB THE FRONTIER

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ジャンプ作品へのタイアップが続いたと思えば、今度はマガジンのこれまた人気作のOPに起用され、勢いが留まることを知らない。

 

『ODD FUTURE』や『Touch off』などエレクトロな要素が多かった楽曲のリリースが続いていた中、疾走感溢れるナンバーがまさに作品の世界観とマッチしています。

エフェクトマイクの使用や印象的なサックスパートもありながら、どこか懐かしさも感じる。

 

 

以上16曲。

よし、やろうオタク祭り。今すぐやろう。

 

そもそも宣伝効果だけを狙ったタイアップってあまり好きではなくて、もちろんビジネスである以上レーベルの関係だとか諸々あるのも分かってはいるんだけれど、過去のインタビューやメンバーのブログを見ても作品と向き合って寄り添い方を真剣に考えている彼らの真面目さはとてつもなく大きな魅力だと思っていて。

 

UVERworldの音楽が作品をより輝かせることにもなれば、作品の力を借りて得たアイデアが音楽として形になることもあるだろうし、そうやって結果的なことかもしれないけれどアニメも音楽も一緒になって作り上げられている感覚が素敵じゃないですか?

 

ライブパフォーマンスも圧巻だし、音響や照明などセットへのこだわりも強い。

 

あとは映像。上でいくつかリンクを貼ったライブ動画にも映っていますが、彼らの楽曲の多くは曲ごとに作られたリリック映像がステージ後方のスクリーンに流されるんです。

歌われる曲が知らない曲だったとしても、歌詞が映像で流れるから目でも楽しめるし、脳が変換してくれる分メッセージが頭にガシガシ入り込んでくる。

 

そしてなんと言っても彼らの圧倒的なパフォーマンスと熱量。「好き」ということにとことん向き合い情熱を燃やすオタクという人種にとっても、その熱量はきっと嫌いなものではないと思っています。

 

ひとりでも多くのオタクと一緒に世界を超えたい。

こんな時だからこそ笑いたい人へのおすすめコメディ映画10選

色々と自粛ムードの中で、家で時間を持て余したり、やりたいことが出来ずにストレスを感じる人も多いと思うんですよ。

 

逆に普段やらないことや、後回しにしていたことに手をつけてみようかななんて思ったりもするんですけど、最近はもっぱら自宅で映画を観ることが多くなっています。

こんな時だからこそ笑って過ごせたらいいですよねということで、おすすめしたいコメディ映画を10作品ご紹介。

 

賞レースでは社会派作品が多かったりもしますが、果たしてそういう作品だけが高尚で良い映画なのかというとそうではないですし、肩肘張らずに映画を観たい時だってありますよね。それこそ、今だからこそ笑いたいこともあるでしょうから。

とここまで書いておいて、結構下ネタ満載だったりブラックジョークのオンパレードみたいな作品もわりとあるので、高尚とは程遠かったことに気付く。あまりにも遠すぎる。日本とブラジル。

 

そんなブラジル映画達、基本的には『Netflix』や『Amazonプライムビデオ』などの動画配信サービスで鑑賞できるかと思いますが、時期によっては配信していないなどあればすみません。

それでは、どうぞ!

 

 

 イエスマン

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コメディといえば!という印象を持つ人も多いであろうジム・キャリー主演作としてご紹介。

 

何事にも「ノー」と答えてきた全てに「イエス」と答えることで大きく変わっていく男の人生を描いていく。

 

ジム・キャリー主演作って昔はよくテレビでやってたりしましたけど、最近はさっぱりですよね。彼の作品全てを観たわけでありませんが、今観てもやっぱり面白い、唯一無二のコミカルさがあります。

 

ジム・キャリーの顔芸やセリフまわしが冴え渡りコミカルな作風でありながらも物語としてもしっかりとしていて、ただ笑いたいと思って観てみると、それ以上に「前向きな姿勢や何事にも通ずるひたむきさを大切にしよう」と思わせてくれる作品です。

 

 

 

 

 

 ダーティ・グランパ

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挙式を控えた真面目すぎる孫と妻を亡くしたばかりの自由奔放な祖父が織り成す痛快なバディムービー。

2人が旅行に出かけた先でやりたい放題にかます。祖父は長年連れ添った妻を亡くしたばかりだというのに独身生活を謳歌し始め、真面目な孫を旅先で何かと巻き込む。かなり低俗、でもそれをロバート・デ・ニーロザック・エフロンがやってるって面白すぎませんか?この俳優らがこの作品を受けた、それをどう思うかで作品を楽しめるかが変わるかもしれません。

 

ロバート・デ・ニーロ演じる祖父がとにかく無茶苦茶で、マフィアとして冷徹に人々を惨殺しているイメージが強いとそのギャップにやられることでしょう。

掛け合いのテンポが良く、終始笑えます。

 

 

 

 

 

 ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

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友人の結婚を祝うためにラスベガスでパーティーをする独身男性4人。翌日、二日酔いに見舞われながら目を覚ますと花婿が消えており、彼を探す過程で昨晩一体何が起きていたのかが徐々に分かってくる・・・。

 

後先考えないテンションで浴びるほど酒を飲んだりドラッグ吸いまくったりその勢いで女性をナンパしたり…みたいなアメリカンコメディのぶっ飛び方が好きでして、まぁ実際そういうタイプの作品ではあるものの、記憶をなくしている過去が少しずつ明らかになりながらも花婿を探す現在の2つの時間軸での出来事に笑えるため、変な小気味良さがあります。

 

評論家らにも認められゴールデン・グローブ賞作品賞を受賞した確かな作品。続編もあります。

本作を意識したであろう作品も多く、コメディ映画の金字塔となりつつあるのかなと思ったりもします。

 

 

 

 

 

 真夜中のパリでヒャッハー!

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社長の子供の子守りを頼まれた男が仲間たちと巻き起こすドタバタ劇。それらをハンディカメラでの撮影として展開するフランス映画です。

 

子守り中に仲間たちが押しかけてパーティーに発展してしまい、朝起きると社長の子供がいなくなっている、フランス版「ハングオーバー!」ともいえる本作はフランスで大ヒットしたことで世界中で上映され、続編も制作されました。

 

作中、一体何が起こっていたのかが明らかになる清々しさ。しかもそれらの出来事がいちいちぶっ飛んでる。

ハングオーバー!」が合う人にはこちらもきっと気に入るはず。

 

 

 

 

 

 なんちゃって家族

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メキシコからアメリカへと麻薬を運ぶことになった男が、他人と家族を偽装して運び屋をするロードムービー

 

麻薬を扱うシリアスさと、それを家族旅行を装いながらかいくぐろうとするコミカルさ。

しかも他人同士の彼らは「冴えない麻薬密売人」「ストリッパー」「童貞」「ホームレス」とクセのありすぎるメンツで、字面だけでもじわじわ来ませんか?何か起こる気しかしないですよね?

 

ジェニファー・アニストンの起用や、子供役のウィル・ポールターとエマ・ロバーツなど今後が楽しみな俳優のキャスティングなども魅力的。

 

 

 

 

 

 ゾンビランド

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ゾンビ物のコメディ映画として『ショーン・オブ・ザ・デッド』が有名ですけど、同ジャンルとして括ると個人的にはこっちが好きなので選びました。

 

人類の大半がゾンビと化した世界で、「生き残るためのルール」を作り実践する青年が、ゾンビがいないとされる遊園地を目指す中で出会う男や姉妹と共にサバイバルを行う。

 

もしこの世がゾンビに溢れたらって一度は考えたことないですか?本作はそんな時に考える対処方法をそのまま「ルール」として則っているんです。そのある種のメタ的なところが面白い。

 

キャストも魅力があって、『ゾンビランド』は2009年公開の映画なんですけど、続編の『ゾンビランド  ダブルタップ』が昨年2019年に公開されたんですよ。

ウディ・ハレルソンアビゲイル・ブレスリンはもとより、ジェシー・アイゼンバーグが『ソーシャル・ネットワーク(2010年)』で、エマ・ストーンが『ラ・ラ・ランド(2016年)』でそれぞれアカデミー賞にノミネートまたは受賞するなど、この10年でキャリアを積み再集結したのも、感慨深さがあります。

一見、B級ゾンビ映画臭もしますが、監督や脚本も『ヴェノム』や『デッドプール』などを手がけるなどスタッフ陣含め実力派揃いです。

 

 

 

 

 

 テッド

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テッド。可愛いですよね。このファッキンテディベアの名前です。

 

孤独な少年がクリスマスプレゼントに届いたテディベアと友達になれるようにという祈りが通じ、命が宿ったテッド。それ以来、2人は親友になりますが、少年は大人になっても自立の出来ないダメ男になっています。

そんなある日、恋人からテッドか自分か選べと迫られたことで、2人の関係に少しずつ変化が現れていきます。

 

可愛いクマさんの心温まる物語を期待してもらって付き合いたてのカップルなんかには観てもらいたいです。でも同じ期待をしているお父さんお母さんは小さなお子さんには観せないで下さい。

以下、参考画像です。

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 ネイバーズ

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閑静な住宅街に家を買い、赤ちゃんを育てながら暮らしている夫婦。

隣の家に大学生らが引っ越してきたことで、彼らが騒がないようにとリーダー格の学生と仲良くなるも、懸念していた通り毎晩のようにパーティーが始まる。怒った夫婦と隣人の学生達が引き起こすトラブルを描くコメディ。

 

互いのやることなすことがエスカレートしていくのであまり真剣に観てしまうと不快感すら覚えてしまうのだけれど、続編も公開されており、本作はどこに着地していくのかが気になってしまう妙なクセを持っている。

 

夫婦側も学生側もあの手この手で互いに何かを仕掛けるのだけどそれがとてつもなくくだらなかったりして、そのセンスがアメリカンだよなぁとじわじわきてしまいます。

 

 

 

 

 

 ラストベガ

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マイケル・ダグラスロバート・デ・ニーロモーガン・フリーマンケヴィン・クラインら大物オスカー俳優が豪華共演。

ポスターでキラキラした加工が施されていますけど、必要あります?むしろ俳優らのオーラだけで目が潰れる。

 

4人の中で唯一独身だったひとりが結婚することとなり、ラスベガスでバチェラー・パーティーを敢行。老いても子供の頃から変わらない彼らが夜のベガスで大騒ぎする。

 

小さな頃から互いを知っていながら、それぞれが結婚や子育てを経験して変わり映えのしない毎日の老後生活を送る彼らに訪れる心の変化が、コメディでありドラマチックな作風を感じさせます。

 

キャストがキャストなだけに、どの画もキマっているし(薬ではない)、見応えがある作品です。

 

 

 

 

 

 天使にラブ・ソングを・・・

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とある殺人現場を目撃したことからギャングに命を狙われ修道院に匿われることとなった売れない歌手が、堅苦しい雰囲気の漂う修道院を少しずつ変えていく。

 

修道女や院長、ギャング達に至るまで登場人物が個性的かつ魅力的で、とにかく飽きない。

コミカルなところはもちろん音楽が素晴らしくて、心を震わせるそんな感動を持ち合わせているともいえます。

 

やはり色褪せない名作!おぉ神よ、もったいぶって最後の紹介となったことを許したまえ。

 

 

 

 

と、以上10作品。

 

くだらないことに笑えたり、難しいことを考えずにいられる時間も必要だと思った時には、参考になれば嬉しいです。

初めての4DXで尻がトランスフォームした話

4DXで映画を観たことは1度しかない。

 

通常の2Dと違い、4DXは映画のシーンに合わせてモーションシートが動き、水や風が吹きつけるほか、匂いや煙りまでもが出て作品を演出する。まさにアトラクションのような体感型映画を実現させるわけだが、日本の映画館に初めて導入された2013年当初は4DXで鑑賞する機会がなかった。

 

通常のチケット料金にプラス1000円という少々割高となるもののやはり気にはなるもので、いつ4DX童貞を卒業しようかと息を荒らげて過ごした2014年の夏。ついにその時が来た。

 

初めては4DXが活きる作品をと模索していた中で、それはもうちょうど良い(と思っていた)映画が公開となったのだ。

 

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トランスフォーマー/ロストエイジ』。

機械に命を吹き込む物質により誕生した「トランスフォーマー」が、地球に訪れた驚異に立ち向かう。

 

監督マイケル・ベイ、製作総指揮スティーブン・スピルバーグによる壮大なバトルシーンとカーチェイスシーン、ド派手な爆発の連続で人気を博する映画トランスフォーマーシリーズ。

トランスフォーマー達がカーアクションのみならず、時にはトランスフォームして戦いに繰り出すとくれば、椅子が上下左右に動き、最高の臨場感を味わえることだろう。間違いない。4DX童貞を捧げるに相応しい作品だ。そう思った。

 

だがシリーズを知っている人はこう思ったかもしれない。よりにもよってトランスフォーマーを選んだのかと。おい誰かもっと早く言ってくれ。

 

シリーズ4作目となる『ロストエイジ』。1作目を観た時の驚きは確かに凄まじく、トランスフォームする時のCGのクオリティにグリグリまわるカメラワーク、マイケル・ベイお得意の爆発爆発アンド爆発には大興奮だった。

あの車体がどうやってトランスフォームしているのだろうと画面の端から端まで舐めるように目を凝らすも、理解が追いつかないほどに、端的に、凄い。映像技術もここまで来たのかと驚愕したものだった。

 

だが、2作3作とシリーズを重ねるごとに少々マンネリ化してきたのも事実だ。1シーンごとのCGは目を見張るものがあるし驚きの連続なのだが、いずれも上映時間が2時間半ほどあることも相まって、映画ファンからは徐々に苦言を呈する声も聞かれることの増えた作品だと言える。

 

シリーズを追いかけてきている僕にも確かに一抹の不安はあった。だが、4DX童貞にはそれすらも吹き飛ばすだけの力を4DXに期待していた。憂い奴。

さらには前3作品から主演を、ファック選手権(個人的に最も「ファック!」のセリフが似合う俳優)第1位であるところのマーク・ウォールバーグが務めるということもあって、シリーズに新たな風を吹かせてくれるのではないかと、希望的観測を持って映画館へ行った。シアターに入る前に専用のロッカーに荷物を預けるところなんかも特別感があり、ワクワクして席につく。マーク・ウォールバーグよ、ファッキンディセプティコン達をやっつけてくれ。

 

だがファックされたのはこっちの尻だった。

え、モーションシートの動きデカすぎません?序盤は主人公がオプティマスプライムに出会うまでの尺だから緩やかな動きに楽しんでいたけれど、そのうち戦いが勃発して隙あらば車からトランスフォームするもんだから椅子が尻をガシガシと突いてくる。

 

映画ではやがて地球に反乱軍が攻めてくるんですよ。市民たちは逃げ惑っている中でトランスフォーマーの戦いが始まるんですけど。いやいや攻めるのは街だけにしてくれよ尻を攻めてんじゃねぇよ。

さらには前作での悪役なんかも復活しちゃったりして、いやこちとらちゃんと下半身が復活してくれるか心配でしかないんだよ。

 

やーなかなかしんどいな4DX。結構時間経っただろうと時計に目をやるとまだ残り1時間て馬鹿野郎。おかげで尻がトランスフォームしましたこれで僕もオートボットの仲間入りですありがとうございます。

 

明らかに続編を匂わせて終えた本作。

2017年公開のシリーズ5作目『トランスフォーマー/最後の騎士王』もスピンオフとして2019年公開された『バンブルビー』も3Dで観ました。次の4DX鑑賞はいつになるだろう。劇場公開延期が相次ぐ今だからこそ、想いを馳せる。

『ブルーピリオド』7巻感想/これまでを振り返って立ち止まるその先に希望を感じたい

ブルーピリオド(7) (アフタヌーンコミックス)

先日一気読みして感銘を受けた漫画『ブルーピリオド』の7巻が発売となったので、さっそく読んだ。そして泣いた。

 

やはり読ませる物語というのは山があれば谷もあるし、波が寄せては返す、そんなもので。

主人公・八虎が絵に魅せられてその世界に身を投じてから体験してきたものの集大成のひとつとしての6巻。そして、これまでを振り返って、周りを見渡して、立ち止まる7巻。

苦しみもあるけれどこの先の光も微かに見える喜びが本巻からは垣間見えた。

  

kuh-10.hatenablog.com

 

 ※以下7巻までのネタバレを含めての感想となります

 

 

 

6巻ではとうとう東京藝術大学の入試、運命の合格発表の結果が出た。

絵への深い理解も持ち合わせず筆だってろくに持っていないのにも関わらず読者が得られる、八虎と同じくして藝大入試を受けたような疑似体験。だからこそ、トラブルにも見舞われ満身創痍の中で終えた入試を見事に現役合格となった時、涙した読者は多いことだろう。

 

両親や先生、美術部や予備校の仲間達と共にあった高校生活を終え、7巻からは『大学編』がスタートした。

 

倍率だけで見れば東京大学よりも難関とも言われる藝大への合格を受けてもなお、未だに夢見心地な八虎。試験で合格に足る作品を描くことが出来たのを認められた自覚はあっても、得体の知れない恐怖心が離れない。

 

だから、藝大入学は通過点だと言い放つ世田介と自らの気持ちとの差に恐怖心が煽られる。

 

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『ブルーピリオド』第7巻 26筆目「藝大ライフ1日目」より

 

しかしどうだろう。高校2年生から絵を描き始め藝大を現役合格した八虎はそんな不安を吹き飛ばすほどの結果を残し、同じ藝大生と切磋琢磨していくのではないかと、思わなかっただろうか。少なくとも僕はそんな希望的観測が頭をよぎった。

八虎は経験が周りより少ない分、吸収もするし凝り固まった技法やノウハウがあるわけでもない。だから大学での学びを活かしつつ自らの世界を取り入れていくのではないかと。そう思った。

 

実際、八虎のような現役合格者は少ない。知り合う人々のほとんどが、2浪3浪は当たり前。4浪5浪だってザラな世界だ。合格したことが自分の実力に見合っていなかったと思っていた八虎も現役での合格をした事実を徐々に実感し、周囲とのレベル差も杞憂だったのではないかと安堵していく。勝手に自分の実力のハードルを下げ自信がなかっただけだったのだと希望を見出していく。

 

そしてその希望はすぐに打ち砕かれる。

 

入学早々に八虎は課題において作品のクオリティ以前に、描いた作品への明確な考えや想いが他者に比べて曖昧だと気付かされてしまうのだった。

何故あの絵を描いたのか。何故この色を使ったのか。何故その技法を駆使したのか。何を捉えて何を感じ何を表現したかったのかといった、作品を生み出した意義が足りていない。合格だと分かった時から感じていた、合格者たちの“「上手い」「下手」の次元の話をしていない”ということに気付かされる。いわゆる受験絵のままではいけない、予備校で習ったことは忘れろとまで言われる現実が心に刺さる。教授からの質問にも答えられないまま、八虎は藝大の洗礼を受けることとなるのだ。

 

別に教授らも断じて攻撃的な姿勢なわけではない。それでもどの教授にも、バトル漫画のように背後に「ゴゴゴゴゴゴ」とでも書かれているのではないかと錯覚してしまうほどに、圧を感じてしまう。

それは画力はもちろんのこと、八虎と読者の心情をリンクさせているが故の山口先生の見せ方の上手さだろう。影の付け方や配色がそれらを助長させるし、このあたりの技術の高さにも本当に舌を巻くばかりだ。1コマ1コマじっくりととにかく見入ってしまう。

 

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『ブルーピリオド』第7巻 28筆目「ガツーン」より

 

大学での出来事を受け、筆を取る手が止まってしまう八虎。久々に会った高校の同級生と歩いた渋谷は、きっと青くはなかったことだろう。

 

それでもその落胆の日々を過ごす中で、少し明るさをくれたのが桑名さんで。上野動物園で出くわした彼女とのやりとり、すごく好きでした。藝大合格の喜びを噛み締めながら、まさか次巻でここまでズタボロにされてしまうとは思ってもみなかったこのタイミングで、自分が変わることの難しさや怖さを身に染みて味わっていた桑名さんだからこその言葉の数々。

 

大葉先生でも橋田くんでも世田介でもきっとダメで、姉が藝大現役首席合格で両親も藝大卒業生という立場でその目標に到達することの叶わなかった桑名さんじゃないといけない役回り。

でも、これをきっかけに彼女もまた少しずつ変わっていく決心をしていて、刺激し合いながら高みを目指していく姿に感動するばかりですよほんとに。

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『ブルーピリオド』第7巻 29筆目「俺、なくね・・・?」より

 

付き合い程度に観戦していたサッカーの試合に、自分から興味を持つ姿勢を見せて終わる本巻。

趣味ですら自分には何もないと絶望していた八虎が心を殺さぬよう可能性の幅を広げ始めていく様には、やはり今後の生き様を見せて欲しいと強く思わされる。立ち止まってもしかしたら少し遠回りをするかもしれないそんな道も、広い道が開かれているかもしれない。

そんなこれからが楽しみであると共に、7巻では八虎の様子を見守る世田介の表情にも含みがあったので、このあたりも注目したい。

 

あと、登場の仕方が派手だったので後々出てくるだろうと思っていた三木きねみちゃんもしっかり出てきてくれたのはすごく嬉しかったですね。この作品、登場キャラクターがみんな本当に素敵なんですよ。全員漏れなく応援したくなる、そんな弾けた魅力を持っていて、眩しくてたまらない。それぞれが目標を持って道を進む先に、希望を抱いていてほしいと願う7巻でした。

 

 

 

 

『ブルーピリオド』6巻までの感想/絵の世界に身を投じ情熱を燃やす若者達に魂が震える

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ずっと気になっていた『ブルーピリオド』がこの度マンガ大賞2020にて大賞を受賞されたとのことでこれを機に読んでみることにしたのだけれど、ページをめくるスピードが落ちることなく最新刊6巻まで一気読みしてしまった。面白い。それはもう、圧倒的に。

 

 

もともと話題になっていた段階で「絵を描く喜びを知ったリア充高校生がその道へ進むべく東京藝術大学への入学を目指す」というあらすじは聞いていて、興味はあった。

というのも、小学生の頃から絵画を習っていて中学生くらいまでは小さなコンクールに応募する程度には絵を描くことが好きだったという自身の境遇があって。とはいえ別に特段上手いわけでもなかったし、ましてやその道を目指そうと考えていたわけでもなかったけれど、1枚の紙の上に自分の感じたものを自由に表現できるのが楽しかった。

 

中学卒業を機に絵を描くことはしなくなったが、高校の選択科目では美術をとる程度にはやはり好きだった。

ちなみにその様は作中でキモオタ童貞呼ばわりされていて泣いた。このご時世にホワイトドラゴンが無事に召喚されていることにも泣いた。

 

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『ブルーピリオド』第1巻 1筆目「絵を描く悦びに目覚めてみた」より

 

この漫画のすごいところって、作中で主人公の八虎が絵を上達させていく過程での気づきが、全て漫画として投影されていることなんですよ。そしてそれを実現させる魅せ方が実に上手い。

 

八虎はいわゆるDQN。高校生だが酒を飲むし煙草も吸う。でも、陰キャラにも優しくて空気も読めるし、成績は学年トップクラス。

一見、高校生活を満喫していそうなものだが、テストで良い点数をとることは勉強をすればある程度のラインまではいけるし、友達との付き合いも常に空気を読んで上手く世渡りしている、そんな日常に満たされずどこか疑問を感じている。進路を決めなければいけない時期に差し掛かってもこれといった目標もなく、虚無感の中で生きる。

 

そんな、人に合わせて自分を出すことをしない彼が、1枚の絵画に出会ったことをきっかけに絵を描く喜びを知り、その道を進む決意を固める。話すより聞くタイプで、空気を読むことに徹し、自分を出すという八虎がしてこなかったことが、芸術には求められる。

絵を描くことは自分をさらけ出すことだから。好きを突き詰めていくことだから。彼は絵の世界観に魅せられたのだ。

 

 

美術部に入った八虎は藝大の入試に向けて予備校に通うようになる。ついこないだまで素人だったのに、周囲は美術を少なからず齧ってきた者ばかり。

そのような状態なので、絵の種類や道具の使い方、描き方の技法といった基礎から応用まで全てが初めてづくしとなる。『ブルーピリオド』は絵のことを知らない八虎と、そして読者にも、その世界を教えてくれる。

 

八虎がロジカルな思考を持ち合わせ、また主人公としての心情をも描いてくれるので、我々もすんなりと情報を受け入れられるというわけだ。芸術という厳しいステージで八虎が少しずつ、しかし着実に技術を身につけていく様に、我々も心を揺さぶられる。

 

実質倍率200倍ともいわれ、ある意味東京大学よりも入学が難しい東京藝術大学の試験を受けるにあたって、大事なことは“自分の絵を描く”こと。『ブルーピリオド』は、絵を描くことを通して自分の世界を広げていくという簡単そうでとてつもなく難しい命題を突き付けてくる。

その中で八虎は幾度となく壁にぶつかる。芸術のノウハウ的なことはもちろん、自分の持つものを絵に落とし込むにあたっての表現力や、世界観や好きなことを受け入れていく対応力に向き合うと、どうしたって苦しくなる。

 

日々学ぶ中でいつしか八虎は採点する側の見方だったりを考えて、「視点を誘導させたい」「明暗をはっきりさせてテーマを強調させたい」などと戦略的に絵を描いていくようになる。もちろん、試験をパスする上で大事なことだし、ストーリーとして読んでいても面白い。知らないことをたくさん知ることができて、我々の高揚感も増す。

でも、本当に気持ちが高ぶって一心不乱に筆を進めている時って、八虎が自身をさらけ出して描きたいものに自分を乗せている時なんですよね。何度だって言うけど、自分を出すことが、美術だから。

 

だからこそ、面白い。絵を描く喜びを知る前と後とでは、八虎は見るもの全てが違ったように感じるし、実際に自分なりに解釈してその対象の別の魅力に気づくことができるようになっていく。作中でのセリフを借りるならばまさに、理論は感性の後ろにできる道だ。

 

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『ブルーピリオド』第3巻 10筆目「言いたいことも言えないこんな絵じゃ」より

 

八虎が作中で、絵を描く上で「構図」を大事にしろと言われるが、この漫画もそれはもう見事な「構図」でして。作品全体として見た時に、言葉選びや物語の運び方の上手さには舌を巻くばかり。作者の山口先生の洗練されたセンスがこれでもかと光り、なんというか、引き締まっている。

コマ割りも、言葉選びも、全てが作品最大の魅力を引き出すようにブラッシュアップされて辿り着いた到達点。言葉の間も絶妙で、読んでいる側が八虎の心情にもう1歩近づけさせられる。感情移入のさせ方が巧妙なのだ。

 

そうなってくるともはや、『ブルーピリオド』の1ページ1ページ、1コマ1コマの色の塗り方や重ね方、影のつけ方、線の太さ、ベタやトーンの使い方、描く角度…全てに意味を感じてしまう。八虎が教わっていることを共に学んだ読者は、その術中に見事にハマっているのだろう。

 

キャラクターのセリフや漫画のコマ割りといった、読者を引き込む「構図」=「手段」をもってして八虎を軸に進む物語は、喜びや苦しみといった感情だったり、人間関係だったりの要素が折り重なってひとつの漫画として出来上がっていく。

八虎は先生や先輩や同級生に導かれ、教えられ、考えさせられ、気付かされ、自分なりの絵を見つけていく。

 

理論武装をして自分を出すことをしてこなかった八虎が、殻を破っていきそれを絵に反映していくその過程に一切の隙がないというか、すごく綺麗なんですよね。自分をさらけ出して個性を追求する中で森先輩の言葉に立ち返ったりとか。説得力うんぬんはもちろん、物語としてとても美しい。

 

結局のところ、自分が分からない八虎は技術的なところで勝負しに行くけれど、突き詰めてしまえば自己表現として紙に落とし込まなければ、一歩先には辿り着けない。挫折を味わい、しかしそれでも情熱を持って、八虎は傍から見れば枚数を重ね、人一倍努力している。八虎の当たり前が、他者の当たり前ではないのだ。

その個性に気づかせてくれたのは、大葉先生や橋田、桑名ら。八虎は「努力と戦略」が自らの個性だと、気づきを得る。周囲の人々と共に階段を一歩ずつ上がっていく、まさに青春。

 

見惚れるような絵の数々に個性溢れるキャラクター達。心を打たれるシーンがいくつもあって、どんどん引き込まれる世界観がこの漫画にはある。でも、決して遠くない日常を切り取った本作だからこそ、胸が熱くなるのだろう。

八虎が気づきを得て絵を描くことに昇華したものこそが『ブルーピリオド』そのものだ。1巻を手にとってみればきっと、その世界観に溺れることだろう。八虎が1枚の絵と出会うことで美術の世界に身を投じていくように心を掴んで離そうとしない魅力が、この作品には詰まっている。

『ブラック・ウィドウ』公開延期の悲しみに暮れながらMCU俳優主演のおすすめ映画5本を紹介する

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コロナウイルスの影響で公開延期となる大作映画が続々と出ていた中でついに『ブラック・ウィドウ』もその煽りを受けることが決まり、悲しみのあまりキャプテン・マーベルに助けを求めています。

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(c)Marvel Studio 2019

 

まぁ延期は目に見えていたこともありMCU見返しはまだしていなかったので気長に待とうと思いつつ、このやるさない気持ちを他に向けていこうと。

で、MCUを観てしまうと今回の延期がより辛くなってしまうので、MCU俳優(分かりやすくそういう括りにしておく)の主演作品へ想いを馳せていこうという気概であります。

 

公開延期のニュースを経て、どうしたって残念だという声が後を絶ちません。それはMCUの世界的人気を持ってすれば仕方のないことなのでしょうね。

2019年7月、『アベンジャーズ:エンドゲーム』の全世界での興行収入が27億9020万ドルに到達し、『アバター』の27億8970万円を超えて歴代1位となります。日本円にしておよそ3000億円の大記録。

約10年に渡り描かれてきたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の集大成ともいえるこの作品が多くのファンを魅了している事実を改めて感じられることは実に素晴らしく、ファンとして嬉しく思いました。

 

MCUではこれまで何人ものヒーローが登場し、それぞれの作品に華を添えてきたわけですが、ファンが各作品・各ヒーローの虜になるのは俳優陣がヒーロー達の魅力を引き出しているからこそでしょう。

 

今回はそんなMCU俳優らが主演を務める作品に限定し、その中でもおすすめしたい映画を5本紹介していきます。きっとファンにはそれぞれ、好きなヒーローや好きな俳優がいることでしょう。

 

比較的新しい作品ばかりで隠れた名作の紹介というわけにはいかないのが心苦しいのですが、好きな俳優の見たことのなかった側面を知るほんの小さなきっかけになれば幸いです。

 

 

 ジャッジ 裁かれる判事

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アイアンマン/トニー・スタークを演じたロバート・ダウニー・Jrが主演を務めます。

 

主人公は、有能でありながらも金のためなら有罪を無罪にもしてしまう弁護士、ハンク。

父のジョセフは世間でも評判の良い判事だがハンクは若い頃に田舎を飛び出し、父とは絶縁状態にある。

そんな中、ジョセフの住む町で殺人事件が起こり、ジョセフは殺人容疑をかけられます。

苦手とする父ではありましたが、正義の人間が殺人を犯すはずはない。そう信じるハンクが裁判を通してこれまでの人生で捨ててきた過去を取り戻していく作品です。

 

上映時間142分と長く派手さもないのですが、様々なテーマをはらんでおり登場人物の背景も見事に描かれています。

 

ダウニー・Jr主演ということでの紹介となりますが、父ジョセフ役のロバート・デュバルの演技も光り、親子を演じた2人のやりとりは非常に惹かれるものがあるんです。『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』などで知られるロバート・デュエルですが、本作でハリウッド映画賞の助演男優賞を受賞し、圧倒的な存在を放ちました。

 

また、脚本を手がけたニック・シェンクは、クリント・イーストウッド監督兼主演の名作『グラン・トリノ』、昨年日本で公開された『運び屋』でも脚本を執筆した人物。本作でも彼の手腕が遺憾無く発揮されています。

 

ダウニー・Jrは2010年に妻のスーザンと共に「チーム・ダウニー」という制作プロダクションを立ち上げており、その最初の作品となったのがこの『ジャッジ 裁かれる判事』。このような背景をふまえて鑑賞すると、ダウニー・Jrの作品の作り手としての意図も見えてくるかもしれません。

 

 

 gifted/ギフテッド

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生まれつき著しく高度な知能を持つ人やその能力は、ギフテッドと呼ばれます。分かりやすく言えば天才。

 

この作品は、そんなギフテッドである7歳の少女メアリーとクリス・エヴァンス演じる叔父フランクが絆を深めていく中で訪れる親権問題を発端に、彼らにとっての本当の幸せを追求していくハートフルストーリーとなっています。

 

家族の定義や子育ての在り方などが多様化する昨今ですが、そこに特別な才能を持つギフテッドならではの苦悩を織り交ぜながら物語は進行していきます。

 

メアリーの母親は将来有望だった天才数学者でした。そんな姉が願った「娘には普通に育ってほしい」という意志を継ぎ、フランクは戦います。

キャプテン・アメリカ』や『ファンタスティック・フォー』などヒーローの印象が強いクリス・エヴァンスですが、彼の人間味溢れる真っ直ぐさが本作にはぴったり。

 

監督は『(500)日のサマー』や『アメイジングスパイダーマン』などのマーク・ウェブ。

メアリーとフランクの過ごす何気ない生活の1 コマですら見事な演出で撮りきる技術に注目していただきたいです。

 

そしてもうひとつ、メアリーを演じる子役のマッケナ・グレイスがとにかく素晴らしい。

マーク・ウェブ監督に「彼女がいなければこの作品は作っていない」とまで言わしめた、今後が楽しみな子役。きっとこれからも様々な作品でその名前を見ることになるだろうと思います。

 

 

 白鯨との闘い

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灯り用に使われる鯨油をとるために捕鯨が盛んに行われていた時代に30メートルを超える伝説の白鯨に返り討ちにあい、漂流してしまった男達の死闘を描きます。

 

アイアンマン、キャプテン・アメリカと並んでMCUBIG3と呼ばれるソーを演じたクリス・へムズワースが、周りからの信頼が厚く何頭もの鯨を仕留めてきた一等航海士を熱演しています。

 

名著『白鯨』の原点ともなった実話を描ききった本作はよりリアルに感じてもらうためにも、出来ることならばなるべく大きな画面で部屋を暗くして観てもらいたい映画です。

 

人間にとって自由の効かない広大な海に放り出された漂流者を相手に襲いかかる白鯨の姿は見るだけで絶望感に襲われ、とてつもない恐怖を感じます。

極限状態に陥った船員達の言動や狂気の表情も相まって、その感情は更に増幅するんです。映像美も見事であり、圧巻の描写の数々となっています。

 

と、ここまでタイトルの通り人間と白鯨の闘いを描いた作品であると述べてきましたが、本作は決してパニック映画などではありません。この点は『白鯨との闘い』という邦題もミスリードとなっていますが、原題は『IN THE HEART OF THE SEA』。この部分をふまえて観ていただければ、鑑賞後の感想にズレが生じることも少ないでしょう。

 

ちなみにMCUスパイダーマンのピーター・パーカーを演じるトム・ホランドも出演しているので、併せて注目してもらいたいです。

 

 

 ルーム

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アベンジャーズ:エンドゲーム』で大活躍だったキャプテン・マーベルを演じたブリー・ラーソン。彼女がアカデミー賞ゴールデン・グローブ賞など多くの賞を受賞し話題になったのが『ルーム』です。

 

5歳の誕生日を迎えたジャックは生まれた時から、ブリー・ラーソン演じる母親のジョイと施錠された狭い[部屋]で暮らしています。

彼は母親と共に監禁され、生まれてから1度としてこの[部屋]から出たことはありません。そんな息子に外の世界を教えるため、ジョイは脱出を試みます。

世間から隔離されてきた親子が社会に適応し、自分達の人生を取り戻していく過程を描く作品となっています。

 

この映画、実際にあった事件を元に作られているから驚き。

モチーフとなったのは、オーストラリアで女性が父親に24年間監禁され、性的虐待を受けて子供7人を出産したという「フリッツル事件」。

 

この背景を元に、単なる親子愛を描くに留まらず性的虐待や望まぬ形での出産による家族の問題、マスコミ騒動などといった社会的問題を混在させており、出演者の心打つ演技の数々に目を離せない作品に仕上がっています。

 

MCUヒーローズでもトップクラスの戦闘力を誇るキャプテン・マーベルですが、この作品でのブリー・ラーソンは息子を愛する強くも弱くもある母親です。

僕は『キャプテン・マーベル』よりも先にこの作品を鑑賞していたこともあって、ブリー・ラーソンには母親役の印象を強く抱いていたためヒーロー役の彼女に違和感を覚えていたこともあったのですが、イメージの異なる役柄を演じる姿を見ることでキャプテン・マーベルの捉え方も感慨深さが増したように思っています。

 

 

 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

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最後に紹介したいのは、これまで観てきた映画の中でも個人的にトップクラスに好きなこちらの作品。

 

第2次世界大戦時、解読不可能と言われたドイツの暗号エニグマを解き明かすべく結成されたチームの一員である若き天才数学者アラン・チューリングの苦悩の人生を描く、実話をベースとした伝記映画です。

 

主演は『アベンジャーズ:エンドゲーム』のキーマンの1人ともいえるドクター・ストレンジを演じた実力派俳優、ベネディクト・カンバーバッチ

 

テレビドラマシリーズの『SHERLOCK/シャーロック』でも天才を演じた彼は、やはり頭脳明晰な役柄が良く似合います。天才らしい奇人ともいえる独特の雰囲気、しかしどこか愛嬌を感じる人柄で感情に語りかけてくる演技が素晴らしい。そして、孤高の天才だがその裏側で世界を救う姿は、人柄こそ違えどどこかドクター・ストレンジと重なるようにも思えるのでは。

 

アカデミー賞で脚色賞を受賞した本作は、進行する時間軸をコントラストで巧みに表現して時代の移り変わりに変化を持たせ、時代背景や人物描写を描ききっています。

観終えた後に一度今作の史実について調べてみると、アラン・チューリングの功績をより俯瞰的に見ることもできて面白いでしょう。

 

 

以上、ここまでMCU俳優らの主演するオススメ映画を紹介してきました。

 

もちろん、これらはおすすめしたい作品群のごく一部に過ぎません。今回はより出番の多い作品の紹介ということで主演作に絞り記してきましたが、また機会があれば間口を広げての紹介やレビューも面白いかもしれないですね。

 

ヒーローとは違う、俳優陣の役者たる所以を感じながら、それぞれの作品に浸ってもらいたいと思います。

なぜ『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』は『ポケットモンスター キミに決めた!』になれなかったのか

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今夏公開予定の『劇場版ポケットモンスター ココ』の情報が続々と出てきている。

 

完全オリジナルとなる新作映画にはやはり期待してしまうと同時に、個人的には昨年のリベンジを果たしてもらいたいという思いが強い。

それほどまでに、昨年公開した『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』は残念でならなかった。

 

以下、そんな『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』に対する覚え書き。

 

 

僕は親に初めて映画館に連れて行ってもらった時に観た作品が『ミュウツーの逆襲』だったと記憶している。真っ暗な空間での大きなスクリーンと音響の迫力に感動したのだろう、幼い記憶ではあるがその時のことは今でもよく覚えているのだ。

それからもテレビアニメやゲームなどの媒体でポケモンに触れる時間を重ねた。僕は特撮やディズニー、ドラゴンクエストファイナルファンタジーではなく、ポケモンで育ってきた。

 

kuh-10.hatenablog.com

 

そんな中であろうことか思い出深い作品のリメイク、『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』を昨年観た後には、戸惑いを感じずにはいられなかった。その理由は単純で、「リメイクをした意義を見い出せなかったから」である。

 

一方、2017年に公開された『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』は完全リメイクではなかったが、シリーズ20周年に際して原点回帰しながらも1本の映画として新たな側面も見せてくれる、納得いく作品となっていた。

 

同じポケモンで過去作を元としている『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』と『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』の2作品における違いについて考えてみると、その理由も明らかになってくる。

 

映像についてはいずれの作品も過去作に比べて技術は格段に向上している。

ミュウツーの逆襲』はフル3DCGでの試みだった。サトシ一行が荒れた海を渡るシーンやミュウツーとミュウの空を駆けてのバトルなどではその技術がより映え、迫力ある映像に仕上がっている。

しかし、3DCDが活かされていたのは主に風景やバトルエフェクトであり、人間キャラクターの動きや表情への違和感は拭えなかったのが正直なところだ。なんというか、硬いのだ。声の感情と表情が微妙にズレている印象を強く抱いてしまう。はっきり言って致命傷だ。

 

その点、今年公開された『名探偵ピカチュウ』は実に巧みな作りだったといえる。

毛がフサフサなピカチュウ、きめ細かな肌感のリザードン、鱗を持ったコイキング。予告動画で我々の感じたポケモンに対する違和感は、アニメやゲームでのポケモンしか知らなかったからだ。逆を言えば、現実世界において生き物がアニメーションとして動いていたら、それこそが大きな違和感となる。

『名探偵ピカチュウ』で実写版ポケモンとしての世界観を採用し、ポケモンをCGにした上でさらに1匹1匹を必要以上にリアルなデザインとしていたのは、現実世界で人間と共存するポケモンを描きたかったからだ。

 

『キミにきめた』はデジタル導入によるアニメーションでの作りとなっていたが、特に目を丸くしたのはバトル描写の数々である。

 

細かなコマ割と迫力満点のエフェクト・音声でライバルのポケモンエンテイ、ホウオウ達との白熱したバトルを演出している。その全てにおける立体的なバトルシーンと色鮮やかなグラデーションによって引き立たせる興奮。僕の観たいポケモンがそこにはあった。

 

視覚的な違いは明らかだが、前述の“『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』をリメイクした意義が見い出せない”というのは、残念ながらストーリーに対しても感じた。

 

確かに多くの人々の心に残る『ミュウツーの逆襲』のオリジナルを、現代の技術を駆使して再びスクリーンで体感できる幸せは大いに感じた。声優陣もほぼオリジナルの時のままで、進化した技術と共によって得られるエモーショナルな映像体験がそこにはある。

 

だが、ストーリーはほぼ変わらず新たな要素を盛り込むわけでもなかった。それどころ物語において重要なシーンとなるオリジナルでの「フジ博士の娘アイ」の存在がカットされている始末。

 

オリジナルの完全版では冒頭、フジ博士が事故で亡くなった娘のアイを生き返らせるため遺伝子の研究を行い、その過程でミュウツーが生まれたことが描かれる。研究成果によって作られたアイのコピーであるアイツーは、覚醒前のミュウツーとコピーのフシギダネゼニガメヒトカゲと培養器の中で交流する。そこでミュウツーは、アイツーに生き物の感情や涙の意味を教えてもらう。

 

これがミュウツーの自己の存在意義に対する問いや、物語終盤でのポケモンとそのコピーとの戦いと涙への関わりを強めるのだが、その布石が微塵もなくなっているのだ。そのため、終盤の着地に合わせた強引な展開が目立ち、どうにも自らの知識でメッセージ性を補完せざるを得ないように感じてしまい、気持ちが乗り切らなかった。

 

一方の『キミにきめた!』は冒頭でのサトシとピカチュウの出会い、オニスズメからピカチュウを守るサトシの愛情に触れ彼のパートナーとなることを決めるピカチュウが描かれるが、これはアニメの1話をリメイクする形となっているものの、以降の物語はオリジナルで進行していく。

 

始まりこそマサラタウンからの旅立ちとなるが、タケシやカスミのお馴染みのメンバーは登場せず、出てくるポケモンカントー地方の種類に限らない。地方やポケモンのいわゆる“世代”の混在に戸惑いを感じるものの、だからこそ懐かしくもあるが同時に新しくもあり、飽きがこない。その中でもバイバイバタフリーなどのファンの目頭を熱くさせるストーリーも織り交ぜながら、緩急があり実に締まった構成となっていた。

 

物議を醸したピカチュウが喋った描写については思うところもあるが、「当初はピカチュウに喋らせる予定だったが声優の大谷育江さんがあまりにもポケモンらしい演技だったため、鳴き声のままいくことにした」という裏話もあるので、ifの世界線をやってみたかったことを盛り込んだのかと考えると、タイミングとしてはこの作品だったわけで。手放しで褒めようとは思わないが、概ね満足なのである。

 

つまりは、リメイクにおける懐かしさと新しさを同時に成立させることに対して、この2作のベクトルは違ったのだ。

ミュウツーの逆襲』が「オリジナルポケモンvsコピーポケモン」や「アニメでのオリジナルvs3DCGでのコピー」の構図からその葛藤を描いているとすると、『ミュウツーの逆襲』と『キミにきめた』についても近しいことを感じられるのではないだろうか。

 

2018年に公開された『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』では、人間とポケモンの関係性を再確認できるストーリーとなっており、2017年公開の『キミにきめた』からの系譜だと感じていた。テレビアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』は2016年から放送されているが、当時作画崩壊とまで言われたキャラデザも、小さな子供により親しんでもらうためだと解釈していた。それらを踏まえると、『ミュウツーの逆襲』を知らない層へのアプローチという側面は強かったのだろう。

 

ならば、『ミュウツーの逆襲』でもう少し「勝負」しに行ってもよかったのではないかという念が余計に強まってくる。ある意味神格化されてもいるし、元々のテーマが強い作品であるが故に難しい問題が山積みであったことは察するが、結果としてはその土台にすら乗らなかったことは残念でならない。

「期待しすぎてしまうこと」が怖い

昔から物事に対するハードルの上げ下げが極端でして。

下げる分には失望することも少ないが、上がったハードルを超えてくることというのはやはり難しい。ハードル上下の幅が広いとなおさらだ。

 

評判が良いととにかくハードルがぐんと上がり、いざ触れてみると設定したハードルが高過ぎるあまりそれを超えるに至らない。そんなことが多い。

 

そんなタイプの人間なので、例えば映画やアニメを観た後に、期待を裏切られたとまでは言わないまでも、「思ってたほどではなかった」という感想を持つことがしばしばある。これは作品を侮辱しているわけではなく、自分が下手なハードルを設定していなければ、より純粋に楽しめた可能性を模索してしまうということだ。

 

ハードルを上げてしまうケースとしては、大きく2パターン。

「①未見作品への周囲の評判がすこぶる良い時」と「②前作や、関わる監督・キャストなどの評価が自分の中で高い時」である。

 

多くは①のパターンだ。

インターネットを介して情報や口コミを容易に受け取ることができ、何なら意図せずともそれらを目にすることだってある現代において、作品に対するハードル設定を時に誤ることがある。

「あの映画がとにかく面白いらしい!」「あのアニメがめちゃくちゃ流行っているらしい!」。そんなことを聞いた日には、それらの作品に触れてみようと思い立つと同時に、自分の中で期待値をぐんと上げてしまうのだ。他人の評価が必ずしも自分の基準とは異なるなんて百も承知なのに、である。

 

公式側の「衝撃の結末!」「誰もが騙されるラスト10分!」などといった触れ込みもあまり好きではない。それだけ大々的に言い放つほどの、誰しもが想定しない展開を用意してくれるのだと思ってしまうから。結局のところ、ハードルを上げに上げてしまう宣伝文句だ。

自分が観た後にそんな触れ込みを目にする分にはいい。ただ、フラットな状態で作品を鑑賞しないと「衝撃の結末」とやらも、十二分に楽しめないのだ。本当に「衝撃の結末」であるならば、作り手が用意してくれるものを最大級に味わいたいと強く思う。何とも面倒な性格だ。

 

ネタバレなどもってのほかである。物語で紡がれるひとつひとつの出来事に触れ、何が起こるのかをその瞬間で感じ取ることこそが「衝撃の結末」を生む。

 

だから、僕は映画館に足を運ぶ時には予め作品の公式ホームページを見てあらすじをチェックするようにしているが、作品の色によってはそれすら躊躇うこともある。

事前情報としてどの程度まであらすじを知っておくべきかなど、分からない。多少の知識はあった方が解釈しやすい作品もあれば、何も知らない中で鑑賞することでサプライズを存分に楽しむことができる作品もある。このあたりのバランスも非常に繊細なのだ。

 

あとは、各国の賞レースの受賞作品やノミネート作品。大人の事情は置いておくとしても、業界人による視点で選ばれた作品には、期待を膨らませずにはいられない。「カンヌ国際映画祭金賞受賞!」「アカデミー賞ノミネート!」なんてフレーズがついてこようものなら、自ずと期待値が上がってしまう。

 

だが一方で、評判が良いからその作品を観てみようと思い立つことがある。これも事実なのだ。

とても面白かったが人に勧められなければきっと観なかっただろう、という作品もこれまでいくつも出会ってきた。実際に自分の目で確かめなければ、そもそも琴線に触れる機会すら与えられない。

 

②のケース、続編や歴史的作品に多い。

ここ数ヶ月では、昨年末公開の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に感じたものがそれかもしれない。

 

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世界有数の大ヒットシリーズである『スター・ウォーズ』は、自分の中では期待値を下げていたつもりだった。しかし、前作の不評を振り払うような会心の出来を心のどこかで待ち望んでいたのもまた事実で、結果としては何だかんだでハードルを高くしてしまったのだと思う。結局、期待してしまったら最後で、どれだけハードルを下げようと心の奥底に潜む期待感に嘘はつけないのだ。

 

ダメージが大きかったのが、これほどの大人気作品において理解に苦しむシーンをあろうことか最後の最後にまざまざと見せられてしまい、消化不良の中で劇場を後にしたことだ。シリーズ最終章を謳っておきながらこの有様、心苦しいことこの上ない。

きっと大丈夫、だってあのスター・ウォーズだぞ?と。そんな希望的観測がよろしくなかったのだろう。

 

先日鑑賞した『劇場版SHIROBAKO』も確かに作品として素晴らしかったのだが、テレビシリーズに対する想いが強すぎて、上げたハードルを超えるには至らなかったのが正直な感想だった。

テレビシリーズを思わせるシーンを散りばめながらも新たな一面を見せてくれたことは確かで、単純に『SHIROBAKO』の新ストーリーが見られたことも嬉しかった。だが、作品としてのフォーマットがテレビ向きなこともあってか、監督の意図と自分の見たいもののズレがあってか、感情が燻ってしまった。

 

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確かに面白かったのだ。メッセージ性もあったし、また観たいと思えた。主人公・宮森の姿に胸を熱くしたし、心が震えるところもあった。それなのに、期待値が高すぎるためのモヤモヤ感を抱いてしまう自分に腹が立つ。

 

もはや、楽しみにしている作品という時点で、期待してしまうのだ。これは何年経っても変わらない。結局、監督やキャスト、スタッフ陣を目にしてどのような出来栄えなのだろうと楽しみにしてしまえば、ハードルが天元突破しにかかる。好きな人間が携わった作品だと知れば何を魅せてくれるのかとワクワク感に変換される。

 

かといって作品に触れる機会を与えてくれることに感謝するだけというのも思考停止であることは分かっている。続編作品が前作を超える必要があると思っているわけでもない。ただただ、自分の向き合い方の姿勢の問題なのだ。であるならば、落とし所を見つけるのもまた自分。折り合いをつけていかなければ、純粋に楽しめないことがもったいないままだろう。

 

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